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マックの文弊録

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2010.09.01
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カテゴリ:薀蓄
☆ 9月1日(水曜日) 旧七月二十三日 甲寅(きのえ とら) 大安: 二百十日、風の盆 

【人間は考える竹輪である ? (5)】

《コラーゲン鍋は美味しければ・・・》
コラーゲンは、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質のひとつで、繊維状を為す。細胞外基質として、細胞の外側にあって絡まりあったり組み合わさったりして、体の形状を支える物質(細胞外マトリクスという)の主成分として重要である。

憧れのコラーゲン螺旋肌の表皮の下(真皮層と呼ばれる)には、エラスチンというタンパク質と共に、このコラーゲンが存在する。弾力を保持するエラスチンとコラーゲン繊維が立体格子状に(健康的に)絡まりあっていれば、肌の弾力、保湿力などを保つことが出来て、しわやたるみを防ぐことになるので、ご婦人方は、コラーゲンに対しては美容上の関心も高い。

また、高齢になるにつれコラーゲンを作る作用は、(他の代謝作用も高齢化すれば同様であるが)段々衰えてくるため、膝などの関節に痛みを生じたりするようになる。だからコラーゲンは、ご婦人のみならず、中高年の諸賢にとっても関心が高く、タンパク質の中でも耳なじみの程度が高い。
我々の体の中ではコラーゲンタンパク質は、全タンパク質のほぼ30%を占める程多いのだ。

そこで、世の中には「コラーゲン錠剤」や「コラーゲンサプリメント」と題する商品が数多く出回っていて、人気も高い(それぞれ結構なお値段もする)。テレビなどのコマーシャルでも、必ずこの手の「健康食品」が宣伝されている。

しかし、前回の話を思い出せば、「体は、タンパク質は吸収しない」のである。
コラーゲン錠剤を服用しても、さめの軟骨のサプリメントを飲んでも、居酒屋で豚足を食べても、焼き鳥屋で鶏の軟骨焼きを食べても、どれも皆同じである。体にとってはそのままでは単なるエイリアンだから、腸の中では様々な酵素がこれを一生懸命アミノ酸に分解する。

コラーゲンは分解されると、アラニン、プロリン、グリシンなどのアミノ酸に分解される。そして初めて「体内」に吸収されるのだ。
アラニンも、プロリンも、グリシンもアミノ酸としては極ありきたりのものである。アラニンは蜆やエビなどの甲殻類に多く含まれている。プロリンは豚肉や大豆・小麦タンパク、焼き麩などに含まれている。グリシンはエビやほたて、イカに多く含まれている。
だから、何も高いお金を出してサプリメントを買わなくても、こういう食品を普通に食べていれば良いのである。

それに第一サプリメントを食べても、その中のコラーゲンは結局アミノ酸に分解されてしまう。結果のアミノ酸はその時の都合で何処に使われるか分からない。肝臓細胞を作るのに利用されるかもしれないし、筋肉細胞の材料になるかもしれない。勿論、期待のコラーゲンを作るために使われる場合もあるだろう。しかし、それは確率の問題になってしまう。
ちょうど、学校の校庭の隅に並べられた花壇の内の一つに水をやるために、校庭全体に水を撒くようなものである。

つまり、コラーゲンを食べても「マイ・コラーゲン」にはならない。
「肌がつやつや。名物コラーゲン鍋始めました!」という貼り紙を見つけたら、先ずは大いに笑って宜しい。コラーゲン鍋も、他の何やかやも、そういうものなのだ。「コラーゲン鍋や豚骨は、美味しいから、好きだから食べる」というのが、一番健全なのだ。
これは、他のグルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸など、最近喧しい様々なサプリメントについても同じことである。

敢えて言えば、サプリメントなどの形でタンパク質を食用(経口摂取)することには、今まで述べたように何らの科学的根拠も無い。だから、サプリメントを煽る行為を疑似科学といって非難する専門家も多いのだ。
効果ははっきりいって疑わしい(それも大いに)、しかし(金銭面以外では)害は無い(結局アミノ酸にまで分解されてしまうのだから)ということになるのだろう。


《アミノ酸からコラーゲンへ》
じゃぁ、サプリメントなどに頼らず、普通の食品を満遍なく食べるように努めて、ひいてはその結果としてコラーゲンも豊かにしようとする。その際に一つだけ考慮しておくべきことがあるので、それをここに書いておこう。

コラーゲンの材料になるアミノ酸は、上に書いたようにグリシン、プロリン、及びアラニンと、更にいえばリジンである。この内プロリンとリジンに水酸基(-OH:ヒドロキシ基ともいう)がひとつ付加された、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジンというアミノ酸も追加される。
この2つのアミノ酸はコラーゲンに特有のアミノ酸で、他のタンパク中にはほとんど含まれない。
これらは、水素結合によってタンパク鎖同士を結びつけ、絵に掲げたような3重らせん構造を保つ働きがある。

憧れのビタミンCヒドロキシプロリンとヒドロキシリジンは、体内では先ずプロリン、リジンの形で合成され、コラーゲンタンパク鎖が形成された後で酸化酵素によって水酸基が付加される。
この反応の際にはビタミンCが補酵素として必要とされるため、ビタミンCが欠乏していると正常なコラーゲン合成ができなくなるのだ。これが、昔船乗りなどに恐れられた、壊血病である。

人間はビタミンC(別名アスコルビン酸)を体内で合成できない。だから必要量をすべて食事などによって外部から摂取する必要がある。一方、多くの動物は、自らアスコルビン酸を体内で合成できる。自前で「マイ・ビタミンC」を合成できないのは、人間と一部の霊長類(オランウータンやゴリラなど)、それにモルモットだけである。だからペットの犬や猫にビタミンCを与える必要は無い。しかし、我々人間は適宜ビタミンCを含んだ食物を摂取する必要があるのだ。


《余談:アメフリイトイロバス》
人間の体を構成する約10万種類のタンパク質は、20種類のアミノ酸を材料にして作られる。
この20種類というのは、地球上の他の生き物にも共通している。基本となる部分が共通しているから、我々は他の生き物の命を戴いて我々自身の糧にすることができるのだともいえる。

さて、この20種類のアミノ酸には、自らの体内で合成して作ることが出来るものと出来ないものとに分かれる。自分の体内で合成できるアミノ酸の種類は、生き物の種類ごとによって異なる。
人間の場合、20種類の内11種類までは体内で合成できる。これは言い換えれば、9種類のアミノ酸は自給できないから、食物の形で摂取することが必要になるということだ。だからこれら9種類のアミノ酸を「人体必須アミノ酸」と呼んでいる。この場合「必須」というのは「外部から摂ることが必須」という意味である。人体に必要なのは20種類のアミノ酸であることには変わりない。

偏食などの理由で必須アミノ酸が不足すると、タンパク質の順調な合成が阻害されるため、体の構造が脆弱化するし、ホルモンや酵素を介した体の機能も低下してしまう。

私が高校時代、この必須アミノ酸(当時は9種ではなく10種だった)の名前を覚える必要があった。生物の試験では必ず出題される問題だったのだ。

雨降り一色バス【画像:あめ降り一色バス】昔から受験生は暗記物に関しては語呂合わせの達人である。
誰が考えたか、必須アミノ酸を「アメフリヒトイロバス」と覚えるのだと教えてくれた友人がいた。「雨降り一色バス」である。こうなると、田舎の(何故か田舎なのだ)一本道を雨に降られながら寂しげに(何故か寂しいのだ)走っていくモノトーンのバスを映像として連想できて、すぐに覚えられたのだ。
私はお蔭で今でも「人体必須アミノ酸」はソラでいえる。(別に試験のとき以外に役に立った記憶はないが。)

ついでだからここで、その必須アミノ酸を列挙してみる。
アルギニン、メチオニン、フェニルアラニン、リジン、ヒスチジン、トリプトファン、イソロイシン、ロイシン、バリン、スレオニン。
ね?凄いでしょ?(だから何だって?・・・別に、それだけのことです。)

因みに筆頭のアルギニンは、今では必須アミノ酸から外されている。これは、幼児では生長、成人では窒素平衡に必要なアミノ酸で、タンパク質の生成・分解を調整することによって筋肉の維持に関与する。人間の体内では「クエン酸回路」という仕組みの中で合成されるから「必須」ではないが、成長期にはこれだけでは足りず、外部から食品の形で摂取する必要があるのだ。だから「成長期の必須アミノ酸」は今でも10種類だという事ができる。

それにしてもアルギニンが必須でなくなったら、「メフリヒトイロバス」になって、これでは意味が通じなくなる。
・・・バスヒトリフメイロ?「バス独り不明朗」??
・・・ヒバリイロメトフス?「雲雀色目と伏す」???

今の子はどうやって覚えているのだろうか?
私にとってはこれから死ぬまで「雨降り一色バス」のままだな、きっと。





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最終更新日  2010.09.02 16:39:25
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