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カテゴリ:古典
明日から12月、いよいよ師走です。 繁華街ではイルミネーションがあちこちで点灯されています。 長野県安曇野市の国営アルプスあづみの公園でも、約20万球の電飾が灯されました。
「森の光物語」という催しで、今年のテーマは「光で灯す安曇野の昔話」 電球を灯す発電機には使用済みの食用油で作ったバイオ燃料を使っているそうです。 12月28日までで、点灯時間は午後4時から午後8時。 さて、話は変わりまして、日本では、霊山という ものの考え方があります。 山を信仰の対象とするものですが、少し見渡しただけでも、富士山に始まり、石川県の白山、富山県の立山、長野県の御嶽山、などなど。 また、山頂に神様をお祀りしてある山は数多くあります。 かなり以前に書いた「近江富士」の三上山などもそうですね。 この三上山も古くは「古事記」にも記述があります。 さて、そのうち日本の三霊山 と言われているものは、富士山、立山、白山と言われています。 白山の代わりに、木曽御嶽山を入れる説もあります。 また その他にも、比叡山、高野山、恐山など諸説ありますが、一般的に三霊山としては、富士山、立山、白山を指します。 私がよく行く山小屋が木曽御嶽山山麓にありますが、ここも夏には白装束の修行者たちが登山に訪れるのをよく目にします。 さて、木曽御嶽山はまたの機会にして、今日は立山のお話。 ということで、本日のお題は 「立山信仰」 尚ね昨日のお題は 「春姫の化粧料」←ご覧になってない方はこちらもどうぞ 立山信仰に関する最古の文献は『万葉集』です。 そのなかに、奈良時代の天平19年(747)、万葉歌人の大伴家持が平野部から立山連峰を眺め、「立山賦」と題し、 立山に降り置ける雪を常夏に 見れども飽かず神からならし と詠んだ歌があります。 この歌から古来、立山は家持や山麓の人々に山そのものが神として、あるいは神の住む山として崇められていたことが推測されます。 ただし、そこには神に対する観念はあっても、仏教的な世界観はまだ感じられません。 古代の日本人は、人が死ぬとその霊魂が肉体から分離して、村里近くの山やあるいは立山のような険しい山へ登ると考えていました。 肉体から離れたばかりの霊魂は暴れる死霊なのですが、山の不思議な力で次第に死霊から祖霊に浄められ、さらに子孫の祀りを受けて山の神になるというのです。 このように古代の日本人は、山地・山岳を死霊・祖霊の漂い鎮まる他界としていました。 尚、立山は過去ログ「冬の立山」で書いたように、「立山」という山はありません。 富山側の連山を「立山連峰」、長野県側を「後立山連峰」と呼びます。 最高峰が大汝山(3015m)、そして雄山、富士の折立があり、主峰 雄山の山頂に雄山神社本宮があって、雄山登山を信仰登山とされています。 立山修験の世界観は、今日まで伝わる立山曼荼羅に描かれた世界を見ることで、うかがい知ることができます。 立山浄土の世界では立山三山、なかでも雄山が、阿弥陀浄土とされています。 雄山登山を昔から重視してきたのは、そこが極楽浄土である とする信仰によります。 また、開山伝説に登場する矢傷を負った阿弥陀像も、信仰の対象となりました。 幕末から明治にかけて波乱の生涯を送った天璋院篤姫 NHKの大河ドラマでおなじみですよね。 この篤姫が北アルプスの立山連峰に古くから伝わる山岳宗教「立山信仰」に寄進して、祈とうを依頼していたことを示す古文書が富山県で見つかり、研究者は、幕末の政情が不安定だった時期に篤姫が信仰に心を寄せようとしていたものと見て注目しています。 また 立山の僧侶は江戸時代、全国を回って盛んに布教活動を行っていましたが、古文書には大政奉還の6年前の文久元年に、僧侶が江戸城の本丸を訪ねたという記録が残されています。 その翌年に篤姫が祈とうを依頼するために寄進を行ったことを示す記述もあります。 さらに寄進者の一覧には14代将軍 家茂の妻、和宮の名前も書かれていました。 「当時、女性は山に入ることが許されなかったが、立山信仰は代わって祈とうを行う宗教となっていました。 篤姫は幕末の動乱期に何かにすがりたい という思いで信仰に心を寄せたのではないか」と 立山博物館では推察しています。 立山信仰については、とてもこのページだけでは紹介しきれません。 よって かなりはしょって、さわりだけになりましたが、ご容赦。 厳しい冬の立山連峰は人を寄せ付けません。 他の季節でも険しい山々は俗世とかけ離れた世界になります。 いかにも霊が居そうな、壮言とした雰囲気を持っています。 体力もいるので、なかなか修行登山などはできませんが、こういう険しい山の景色を眺めて、普段の行動の反省などに思いをはせるのも一興かと思います。 ということで、本日の懐メロ 「冬のファンタジー/カズン」、「冬のソナタ・最初から今まで」、「チャイコフスキ-/ピアノ協奏曲第1番第3楽章・立山から」 なぜか大学からアクセスの多い別ブログ ●別ブログ11/11の新着は「CAもプロレタリアか?」 前回は「医療費、介護費用」 こちらも見てね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年11月30日 20時51分24秒
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