いろいろ【まっち】んぐ

　木曽のナア～　なかのりさん♪
　　木曽のおんたけさんは　ナンチャラホーイ♪
　　　夏でも寒い～　ヨイヨイヨイ♪

いきなりなんだ！　と　お思いの方、めんごですぅ～
おなじみ木曽節の歌詞ですが、この「木曽のなかのりさん」とは、イカダ師のことです。

「イカダ師」？？　と、お思いでしょうね。　そもそも「イカダ」という言葉がもう死後化してますから。

イカダ(筏)とは、木、竹、ヨシなどの植物をロープで縛り合わせて作る、原始的かつ簡易的な小型のボートです。　丸太を数本、平行に並べてつないだものが最も典型的な、イカダのイメージですね。

60代、70代以上の高齢の方なら、どこかで見かけたことはあると思います。　私も子供の頃、安治川や淀川河口の貯木場付近で見たことがあります。

ということで、本日のお題は　「木曽のなかのりさん」

尚、昨日のお題は　「地方新聞」←ご覧になってない方はこちらもどうぞ


さて、木曽のなかのりさんと言えば、木曽ヒノキの運搬に関わったイカダ師。　江戸時代は幕府直轄の木曽ヒノキ。　その後、明治になってからも政府直轄の山が多く存在しました。

江戸時代、「春姫の化粧料」でも書いたように、尾張藩の木曽・裏木曽支配は、奥山で伐採した大量のヒノキの木曽川河口までの搬送方法も確立しました。　その方法は近年の鉄道、そしてトラック輸送に変わるまで、長く伝えられてきました。

山の斜面に木を並べてスロープをつくり、その上を木材を滑らせて谷川へ落とす「山落とし」　水量の少ない谷川では堰を造って水をため、堰を壊して数百メートルずつ下流へと流す「小谷狩り」

ようやく木曽川に至ると、一本ずつの「管流し」による「大川狩り」となります。

流れてきた木材は現在の岐阜県八百津町の錦織綱場にたどり着いて止まる。　藤ヅルを編んで作った直径30センチ、長さ400メートルの綱が何本も、左岸の河原から対岸の岩に渡してあるのです。

ここから約100キロ先の熱田・白鳥貯木場までは、イカダに組んで下っていく。

錦織綱場の原型は鎌倉時代に始まったという。　集材とイカダの出発点を兼ねた重要拠点として、江戸時代は尾張藩の直営となり、明治以降も官営だった。

明治末には最大1000人が働いていたが、1911年の中央線開通以降、木材輸送は徐々に鉄道へと切り替わり、1924年の大井ダムの完成でその役目を終えました。

最後のイカダ師、各務正美さんは晩年に水彩画を趣味にし、1995年に99歳で亡くなるまでに、綱場やイカダ師たちの様子を数多くのスケッチに残しています。

木曽川を使ったヒノキの流送は、水量が安定する秋口から春先までと決まっていました。　約20本のヒノキを結び付けたイカダに2人が乗り込み、暗いうちに錦織を出たそうです。

犬山までの21キロ、川は蛇行し、岩や瀬の難所が続いて緊張の連続。

しかし　イカダ師は「日当が土木作業員の8倍と稼ぎがよくて、嫁の来手がありすぎて困った」そうです。

犬山から先の木曽川は濃尾平野をゆったり流れる大河となり、イカダ師も替わる。　4枚のイカダを連ね、笠松からはさらに50枚近くを合体して下る。

河口から伊勢湾を経て堀川に入り、白鳥貯木場へ着くのは、伐採から300日後のこともあったという。

木曽川をイカダで下る　なんてのは壮大な光景でしょうね。　もっとも危険が伴いますが・・・



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