|
カテゴリ:ポエム
朝 寒くて目がさめた。 今までお天気だったから暖かかったが、のせいか、今朝は冷え込む。 幸い昨日は公園の屋根付き休憩所に寝てたから濡れずには済んだが・・・
の中を見ると、あと6000円しかない。 これではここ数日のうちに使い果たしてしまうに違いない。 とりあえず起きて、仕事探しをしなければ・・・ 隆は元派遣季節工。 元というのは、派遣会社から大手自動車会社で季節工として働いていたが、今年1月に契約終了で職を失った。 季節工というのは、ある期間だけ契約をして働く工員である。 今は未曾有の不景気。 派遣切り(契約終了前に契約解除する)などが横行している。 契約期間終了なら文句も言えない。 もっとも 景気のいいときは、少なくとも1回の契約延長はあるが、今の時期、それはムリだ。 この2月からあちこちで職探しをしているが、この時期 どことも求職者がいっぱいで、仕事がない彼らのような人間がウヨウヨいるのだ。 それで野宿しながら職探しをしている。 どことも有効求人率が0.5倍(2人に1人が職にありつける)前後だから、よほど運が良くないと職にありつけない。 彼はもう30歳後半、40に手が届く。 やはり若いほうが職にありつけやすい。 なぜこんな歳までフリーターでいるのか?とよく言われるが、彼だって手をこまねいていたわけではない。 正社員の口がほとんどなかったのだ。 数年前に派遣の業種が拡大され、単純工員にもそれが適用できるようになり、各社はこぞって派遣社員に切り替えた。 それまでは自社が直接募集する季節工が、ほとんど派遣に切り替えられた。 派遣会社も契約を取り、とりあえずを送り込めば利益になるので、後先考えずに募集し、送り込んだ。 大勢送り込めば送り込むほど利益はあがる。 契約終了になれば、派遣会社も正社員ではないのだから「ハイそれまでよ」とバイバイすれば良い。 ゆえに正社員の職はグンと減り、派遣社員の職が増えた。 まあ あれこれ言ってもどうしようもない。 とりあえず職を探さなければ、もうあとがない。 腹も減ってるが、朝はガマンしよう。 まだ早い時間なのでハローワークも開いてないが、とりあえず寝床の屋根付き休憩所をあとにする。 街も活動し始めているが、まだ通勤時間には早いのだろう。 が少ない。 街中のポスターに「母の日」というのを見つけた。 そういえば田舎を出てから10年以上経つが、母親にも数年前に連絡したきりすらしていない。 父親が5年前に急死し、その後小さい畑を母親ひとりでやっているのを聞いたきりだ。 元々 田舎の小作農。 昔から貧乏だった。 3人兄弟の内、長女は結婚してマトモに暮らしているらしいが、隆を含め下2人はいまだにフリーター人生を送っている。 思えば、高校卒業時に就職した会社にずっといれば、もっと楽に暮らせたに違いない。 しかし、当時は景気も良く、職もいっぱいあった。 それがいけなかったのだろう。 ちょっと気に入らないとすぐに辞めてしまう者が多くいた。 それでもすぐ職はあった。 しかも前より条件のいい。 まあ人のことは言えない。 隆も同じ口なのだから・・・ 花屋の前を通ると、若い(とはいえないが)女性が忙しくを並べていた。 花屋は朝の早い仕事だと聞く。 早朝に仕入れてきた花を店に並べているのだろう。 じっと見ていると、その女性が気が付き、声をかけてきた。 「いらっしゃいませ。 母の日のプレゼントをお探しですか?」 そういえば、先ほど見たポスターにも「母の日」と書いてあった。 今ごろはそういう需要が多いのだろう。 しかし 隆はそんなどころではないが、その声につい反応してしまった。 隆:「ええ あの~ どんなが良く贈られるのでしょうか?」 女店員:「そうですねー これとか、こんな花などが多いですね。 あ 失礼ですが、ご予算はとのくらいでしょうか?」 隆:「あ、あ、あの~ 5000円くらい」 女店員:「それだけあれば立派な花を組めますよ」 と言って、あれこれと奨めてくれた。 そして ある程度組み合わせが決まり、 女店員:「どちらへ送られます? ここに住所を書いてください。 あ それと送料が別にかかりますので・・・」 隆:「えっ 送料ってどれくらいなんですか?」 女店員:「まあ場所にもよりますが、どちらですか?」 隆:「○○郡××町なんですが・・・」 女店員:「あ それなら直送できますね。 遠方の場合、生花は航空便になり、高くなってしまいますので、組合加盟しているところは、その近くの花店に同等のお花を組んでもらい、そこからお届けすることが多いんですよ」 隆:「で、送料は?」 女店員:「えーっと、1500円ですね」 5000円の花代を差し引くと、残りは1000円しかない。 500円足りない。 どうしよう・・・ もじもじしていると、女店員がたずねてきた。 女店員:「どうされたんですか?」 隆:「あの~ ちょっと足りないんです。 6000円しかなくて・・・」 女店員:「あ それならお花をちょっと組替えて、総額で6000円になるようにしましょう」 と 言って、またいろいろな花を組替えていった。 女店員:「これでいかがでしょうか? これならほぼご予算の範囲で収まりますが・・・ 6020円です」 隆:「すみません。 その20円も無いんです。 実は・・・」 と言って隆は自分の身の上を簡単に話した。 女店員:「なんですって! じゃあこれを買えば貴方は一文無しになるじゃないですか」 隆:「そうなんですけど、どのみちあと数日でそうなるのは見えてますし、今まで何もしなかった自分が情けなくて、この際 無くなってもいいか と思って・・・」 女店員:「あのね、貴方の気持ちは非常にわかるわよ。 でも 人間 やはり自分が一番大事なのよ。 たとえあと数日でそうなるとわかってても、あきらめちゃいけないんじゃない? 努力はするべきよ」 その他、いろいろと説教されてしまった。 なるほど、この女性の言うとおりだ。 自分はもう投げ出してしまっている。 隆:「わかりました。 ありがとう。 もうちょっとがんばってみます。 でも そうするとその花を買えないことになるんですが・・・」 女店員:「いいですよ。 じゃ こうしましょう」 と、そのはとんでもないことを言い出した。 つづく・・・ 「母に捧げるバラード/海援隊」←クリック 尚、ずっと書いてますが、来楽暮さんが昨年に続いて、ながの東急で5月7日から13日まで展示販売会をします。 お近くの方はぜひ、お越しを・・・ 大学からアクセスの多い別ブログ ●別ブログ5/6の新着は「カーシェアリング」 前回は「アトランティス伝説」 こちらも見てね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年05月08日 10時50分04秒
|
|