テーマ:熱帯魚&水草の話(1149)
カテゴリ:新!私的熱帯魚図鑑
今まで縁日の金魚すくいでゲットしてきた金魚位しか飼育経験がなく、しかもその金魚でさえ1週間後に死んじゃった・・・とか言う人が、新たに何か観賞魚を飼ってみたいと私が相談受けたら、一体どんな魚種を薦めるのかなぁ~って自問自答してみました。・・・そこから導き出された結論はアカヒレですね。しかも、思考時間2秒位でしたから、私の中ではも最も飼い易い観賞魚と言うイメージがあるんでしょう。 アカヒレがお奨めなのには当然理由があります。まず第一に、サイズが小型で丈夫!アカヒレは成魚になっても全長4cmに満たない位のサイズですから、小型水槽でも十分OKです。しかも、やたらと丈夫ですから、めったな事では死にません。その特性を生かして、花屋やホームセンターなどでコップやそれに類したガラス容器に入れられて「コッピー」とか言う名前で販売されている事があります。ひどいものでは、香港辺りの市場でキーホルダーの中身に、数十mlの水と一緒に閉じ込められている事も。ただ、いくら丈夫なアカヒレでも、この手の環境下で長生きする事はありません。せいぜい1週間ってとこでしょう。はっきり申して、動物虐待以外の何者でもありません!例えば、猫を輸送用のかごの中に入れておいても死なないから、「猫はかごの中でも飼育できる」ってなるでしょうか?人は車の中に長時間いる事が出来るからといって「人間は車の中で生涯を過ごせる」って考える人がいるでしょうか?アカヒレはコップでは短期間維持できますが、飼育はできません! 次にアカヒレの長所としては、原産国が中国(一部ベトナム)と言う事で比較的低水温にも対応できると言う事。通常の熱帯魚であれば、せめて20℃理想を言えば25℃程度の水温を維持する必要がありますが、アカヒレならば平均的な我が国の室温であれば、保温なし(もちろん部屋の加温はあり)で冬を越せるはずです。あっ、よほどの寒冷地とかご家庭を取り巻く様々な諸問題から冬の間も一切暖房なしっ!とか言うご家庭は対象外とさせていただきます。 次なるアカヒレの長所は、むやみやたらと安価なこと(笑)。安い時は1尾10円位で購入できる場合さえあります。大型魚の餌としてのメダカが不足した場合に、餌アカヒレとして扱われる事も(涙)。 ここでアカヒレの学問的な位置について少しご紹介しましょう。アカヒレの学名は Tanichthys albonubes Lin,1932です。1932年に中国の研究者Lin氏によって記載されてます。ちなみに属名のTanichthysのTan=タン少年、ichthys=魚、つまりは「タン少年の魚」と言う意味で、研究者のLin先生を生息地まで案内してくれた少年の名前がタンだと言われています。原産地は当初中国の一部地域のみとされていましたが、最近の報告では中国のその他の地域や国境を接するベトナムの一部地域でも生息が確認されたと言う事です。いやぁ~、良かったですね~。と言うのも、この魚が最初に発見された中国の白雲山一体は生息環境が崩壊し、今ではアカヒレの姿を見る事が出来ないと言われていますから。まぁ、繁殖も非常に容易な魚なので、原産地が消失してもアカヒレ自体がこの世から姿を消す心配はなさそうですけど。ちなみに、現在入手できるアカヒレはおそらく100%ブリード物です。 そうそう、このアカヒレの英名はWhite Cloud Mountain minnowつまり、「白雲山のミノー(北米に生息する小型コイ科魚類)」って事で、「なんだよ、さすがアメリカ人!直球勝負でヒネリがねえなぁ」・・・って、考えてみれば日本の呼び名なんて見た目そのまんまの「アカヒレ」、果ては「コッピー」」かよっ!(涙)。 ※次回はアカヒレについてもう少し掘り下げた薀蓄をばご披露いたしましょう! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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