テーマ:ベタが大好き!(585)
カテゴリ:ここから始まるベタのお話
形状による区分 プラカット スペードテール プラカットの尾ビレは通常は半円形。つまり縁が円を描くように丸みを帯びているものです。これは、改良の元になったスプレンデンス種(Betta splendens)がそうなんですから、当たり前と言えば当たり前の事です。しかし、今日の画像のように、後縁中央付近が突起したスペード型の尾ビレを有するプラカットをバンコクでは時折目にする事があります。 10年ほど前から、ほぼ毎月の様にバンコク入りし、その度に数百尾のベタを持ち帰ってすべての個体を撮影している訳なので、手元には数千個体分の画像のストックがあります。改めて確認してみると、この様なスペードテールのプラカットは圧倒的に黒~黒褐色の地色の上にメタリックな輝点が散在するカラーパターンの品種が多いようです。また、大部分の個体は通常のプラカットに比べてやや細身の体型をしているようです。その理由として一番妥当なものは、「ブラックボディにメタリックなスポットと言うパターンを非常に好むブリーダーの所でたまたまその様な尾ビレを有する系統を維持しているから」って言うものでしょう。 ・・・でも、これじゃあ夢がないって言うか、つまんないんですよね~。これが研究者だとうっかり推測で物を言えない訳ですが、私ってば「単なる一愛好家だもんね~」(笑)。あくまでも根拠レスの個人的見解に過ぎないのですが、このスペードテールを有するプラカットの作出には品種改良のある時点で、スプレンデンス種以外の血が導入されているんじゃないでしょうか。 本来、異種間交雑をするとDNAの相違などから様々な障害が生じ子供世代は取れても、孫世代は生まれてこない(生殖的隔離)って言うのが通説です。ライオンとトラの合い子であるライガーとか、ロバとウマの交配種であるラバとかみたいに。そうする事で、自然界で異種間交雑が万が一発生しても、その度に新たな種が生じないような仕組みになっているんですね~。自然の摂理って奴なんでしょうか。 じゃあ、「スプレンデンス種×近縁種のベタ=スペードテールって言うのも品種としては成立しないじゃん!」って言う事になっちゃうんですが、なぜかスプレンデンス種とその近縁と考えられているインベリス種やスマラグディナ種との交雑は、異種間交雑にもかかわらずその後も累代繁殖できる事が判っています。・・・って、これって別種じゃないってことなんじゃあ?まぁ、常識的に考えればこの3種のベタは別種ではなく、亜種レベルの相違と考えるのが妥当だと思います。外見の違いなんて種の区別には何の役にも立ちませんからね~。ダックスとセントバーナードが犬と言う同一種だなんて外見からは絶対に判らないのと同じです。 でも、一応この3種のベタは「別種」と言う事になっています。まぁ、当然研究者の方々が外見的特長・遺伝的特徴・地理的条件などあらゆる角度から検討し下した判断なんでしょう。別種ならば、それぞれの記載者の名前が種小名の後に記載されるけど、亜種だとその亜種記載した研究者の名前は後世に残らないから別種の方がいいっ!とか言う、事情じゃないって事を信じたいもんです。 それでもって、本題に戻ると「スペードテールのプラカット」を作出する際にうってつけと思われる、スプレンデンス種の近縁ベタがいるんですよっ!バンコク近郊の都市マハチャイ周辺に生息する「ベタ sp. マハチャイ」って奴です。ちなみ「sp.=(speciesの略)」って言うのは未記載種って言う事です。つまり、「まだ新種なのかどうか正体ははっきりしないけど、ひとまずこんな奴がいましたぁ!それでもって一番最初に発見したのは俺だからねっ!!」と言う、研究者の学会に対するお手柄の自己申告みたいなもんです。もっとも一般的には「カラシンsp.」みたいに、未記載種かどうかではなく単純に扱う側が学名判らない時に使っちゃったりしてますけどね。ショップで販売する際に「なんちゃらsp.」って言った方が高く売れるしね(笑)。 この「sp.マハチャイ」って奴はなんとスペード型の尾ビレ持ってますし体型もスレンダーなんです。しかも、私の知る限りでも数人のブリーダーが日常的にプラカットとの交配してますから、こいつが「スペードテール・プラカット」の先祖の片割れである可能性は否定できないと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012/02/04 05:09:38 PM
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