テーマ:ベタが大好き!(585)
カテゴリ:ここから始まるベタのお話
形状による区分 ショーベタ ハーフムーン それでもって、尾ビレの開き具合に対する追求は更なる高みを目指します。すでにスーパー・デルタでかなりの開きを獲得した尾ビレはついに、半円つまり180度まで開くハーフムーンにまで到達しました。ハーフムーンと言う言葉を私が耳にしたのは今から20年以上前の事ですから、品種としてはそれほど新しいものではありません。当時、スイス在住のラジフと言うアマチュアのベタ愛好家がブラックのハーフムーンを持っていて、その写真を見て心の底から驚愕した覚えがあります。 もちろん、半円状に開く尾ビレにも驚愕したのですが、実は当時私はショーベタのソリッド・ブラックに夢中でして、私の温室内はソリッド・ブラックの成魚や稚魚で一杯の状態でした。それでも、まだスーパー・デルタにまで到達していませんでした。当時は、スーパー・デルタの尾ビレを有する品種はソリッド・ブルー、マルチカラー辺りに限定されてました。もちろん、ただでさえ作出難しいソリッド・ブラックなんてせいぜいデルタ・テールの中では良好な尾開きっているレベルが関の山。・・・それを、ラジフったら既にハーフムーンレベルで持ってるなんて・・・。もちろん、当時のアメリカIBCのコンテストでは、ラジフ氏のハーフムーンのブラックが連戦連勝で向かう所敵なしって状態だったようです。 その後、ハーフムーンと言う形質は様々なカラーリングの品種に移植され、いくつかのルートで我が国にも入ってくるようになりました。でも、その当時、ラジフ氏に打ちのめされた私はスゴスゴとショーベタ界から脱落して「水草レイアウトの中を美しく泳ぐ小型カラシン&コイ科魚類の世界」に行っておりました・・・って、家族に言わせりゃ「社会復帰」とか「更生」って言うそうです(笑)。 今ではすっかりハーフムーンがショーベタの代名詞的存在になっております。人によっては「ハーフムーンにあらずんば、ショーベタにあらずっ!」って言い切る人まで。・・清盛じゃあるまいし(苦笑)。確かに、ハーフムーンは観賞価値から言えば、ほぼ完成レベルと言えるでしょう。ただ、実際にはスーパー・デルタとハーフムーンの間に明確な境界線がある訳ではありません。一応「尾ビレが180度開く個体がハーフムーン」って言う定義がありますが、じゃあ、179度開くスーパー・デルタとハーフムーンの区別付く人がこの世に存在するのでしょうか?170度の個体だって素人目にはよく判りません。要するに「ハーフムーン」って言った方が、販売するのに都合が良いって言う、「業界サイドの都合」レベルの違いです。 厳密に言うと、スーパー・デルタ以上の個体は尾ビレの軟条(うちわの骨みたいな奴)が3回分岐(4レイ)してるんですが、この最初の分岐がハーフムーンでは尾ビレの根元により近い場所で起こっていて、結果として分岐した各軟条の長さがほぼ等しく見えます。この様な状態で軟条の分岐が起こると、それだけ尾ビレを開く力が強固になり、結果として180度まで開くって訳です。でも、明らかにハーフムーンの軟条保有しているのに尾開きはいまいちって言う個体も存在します。こりゃ、若魚期のトレーニング不足ですな。また、軟条の分岐がハーフムーンレベルではないのにもかかわらず、なぜか180度の尾開きを実現している個体も存在しちゃったりします。 要するに、馬鹿の一つ覚えみたいに「ハーフムーン、ハーフムーン!」ってお題目を唱える必要なんてないって事です。販売側が「これはハーフムーンですっ!」って言ったからそれを盲目的に信じるって言うのも、これまた愚かな事です。ご自身の目で見た事実を、自信を持って信用しましょう。誰がなんて言おうと、あなたがハーフムーンって信じた個体は、間違いなくあなたにとってのハーフムーンなんですから。それに「ハーフムーンの小汚い個体」と「スーパー・デルタの見た事もないほど美しいカラーリングの個体」とどちらがショークオリティが高いというのでしょう。少なくとも作出難易度で考えれば、ハーフムーンの個体は「カラーリングにこだわらなければ、両親にハーフムーン個体を使用する事で」、サルにだって作出可能です。 ちなみに、ベタブリーダー達もスーパー・デルタとハーフムーンを厳密に区別していません。・・・って当たり前の事で、たとえハーフムーン同士で交配しても、100%ハーフムーンの子供が取れる訳じゃありませんから。元は同じスプレンデンス種ですからね~。同じ両親から得た子供が成長した後に、「これは尾開きがいいからハーフムーン」とかやってるだけの事。もちろん、スーパー・デルタの個体だって、もったいないからそのまま市場に出しちゃいます。最近のバンコクでは「ショーベタ=ハーフムーン」って言うのが常識で、お店に行って「ショーベタ欲しいんだけど」なんて言おう物なら、「うちにはハーフムーンしか置いてないよっ!」って言い返されちゃいます。たとえ、その店の個体のレベルがデルタ・テールに毛が生えたようなレベルであっても、奴らは自信満々に「ハーフムーン」って言い切ってます。そして、驚いた事に販売価格は基本的に同一店舗内であれば、同じ品種は個体のレベルに関係なくどれも一緒です。・・・さすがタイ人(笑)。 結論としては「ハーフムーンと言うのは非常に素晴らしい形質だが、盲目的に崇め奉るのは商業戦略に乗せられた愚か者のする事。あくまで自分の目で判断し、気にいった個体をチョイスすべし!」って事になるでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012/02/14 04:33:30 PM
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