ベタ産卵2日目の作業
さて、ベタが産卵してから今日で2日目です。通常は、オスベタが泡巣の下で頑張って卵を守ったり、泡巣の補強をしたりしているはずなんですが、場合によっては卵がまったく見当たらなくなっている場合もあります。こんな時考えられる原因は以下のようなものです。1:オスに食卵の傾向がある場合2:周りの環境が騒がしいなど劣悪だったため3:卵が未受精卵だった場合 このうち1のオスに食卵の傾向があると言うのはアピストなどでは良く見られるケースですが、ことベタに関してはさかなおやじの温室ではほとんど見たことがありません。むしろ2や3のケースである事がほとんどだと思うのですが、知人の中にはそう言った悪癖をもったオスがいるという人間もいるので頭から否定は出来ません。また、音や振動などオスが落ち着いて卵を守れないような環境に産卵水槽をセットしておくと、オスが食卵してしまう事はたまに見受けることが出来ます。 ただ、オスが食卵してしまう一番の原因はやはり卵が未受精卵であった場合でしょう。オスは泡巣の下で卵を守りながら、未受精卵や水カビに侵された卵を取り除いていきます。その時、あまりにも不健全な卵が多いと残りの健全な卵も含めてすべてを食べてしまう事があるのです。卵が未受精卵である原因にも色々あると考えられ、オスかメスどちらかの生殖機能不全に問題がある場合が多いようですが、中にはメスが体内に卵が形成されてからあまりにも長期間繁殖しなかった場合に、体内の卵が過熟してしまい、正常に受精・発生できなくなってしまったというケースも良く見かけます。やたらと腹部が大きく膨張していたメスなどを使って産卵させた時、オスに食卵が見られた場合は1週間後くらいに同じペアでもう一度産卵させてみると今度はうまく行くと言う事があります。 さて、オスが食卵する事もなく卵を守っている場合ならば産卵後2日目に飼育者がしなくてはならない作業はほとんどありません。ただ、初産などで卵の数が50個未満と少ない場合は、下の写真のように小さなプラ容器などで静かに卵を泡巣ごとすくいとり、他の水槽の泡巣と混ぜてしまう方がよいでしょう。この場合、飼育者の都合で一方的に他のペアの卵を託卵されたオスは、哀れな事に自分の卵と他人のものを区別できないため、自分の泡巣の中にせっせと他人の卵を取り入れ一生懸命世話をしてくれます。 わざわざ、このような作業をする意味は、孵化した稚魚の管理のし易さにあります。常識的に考えれば、水槽内の稚魚の数が少なければ少ないほど管理育成が楽と思われがちですが、実際は逆なのです。30cm水槽にベタの稚魚十数匹などというのは、すべての稚魚に均等にエサを与えるのが難しくかえって管理が難しくなります。また、稚魚達の成長にも大きなばらつきが見られます。その点、30cm水槽に200匹くらいの稚魚を収容しておいた方が、エサを均等に与えやすい他稚魚達に競争意識が芽生え、争うようにしてより多くのエサを食べるようになります。これは養殖業では当たり前の常識で、テレビなどの番組で見かける養殖の魚がびっくりするほど過密状態で飼育されているのには、もちろん少しでも小さなスペースで大量の魚を養殖したいという事が一番ですが、エサ食いがよくなるという点も重要なポイントなのです。 さかなおやじの温室でも、18本の(2本新たに産卵しました)水槽の卵を9本の水槽に圧縮収容しました。一番上の写真のブループラガットも懸命に他の魚の卵を泡巣に収容しているところです。また、2つ以上の泡巣を一つにまとめる時には、出来るだけ系統の違う魚の組み合わせにする事をお勧めします。例えば、ブラックとブルー&ホワイトバタフライとか極端にカラーリングの異なる系統の卵を混ぜておけば、稚魚が成長した時にどちらの両親の子供なのか一目でわかるからです。特に、コンテストなどを目指し自分のオリジナルの系統を作ろうと考えているような人は、どのような親からどんなカラーの子供が生まれてくるのか良く理解しておく必要があります。