『怪力法』
『怪力法 並びに肉体改造・体力増進法』(若木竹丸 著)を購入した。(以下、『怪力法』という) 実はこの本、初版は昭和十年代という、トレーニング教本としては古典中の古典だ。 何度か復刻しているものの、今迄はあまりにも高価過ぎて買えなかった(確か俺が高校生の頃の復刻版は30,000円以上だったと記憶している)。 ようやく最近になって「月刊ボディビルディング」誌の版元である出版社からの復刻で、10,000円を切った金額で販売されたので買ってみた。 著者の若木氏(故人)は、昭和初期に活躍した我が国最古のボディ・ビルダーにしてストロング・マンだ。 俺が尊敬してやまない極真空手の創始者である大山倍達先生も、若木氏のボディビル特訓を受けてパワー・アップを図られたと聞く。 又聞きの又聞き、更にその又聞きなので恐縮であるが、若木氏に関する逸話を幾つか。 その1。 若木氏はある日、柔道場に赴き、四段位の猛者を何人か桁ハズレの怪力で投げ飛ばしてから、こう言ったらしい。 「四段の人をあと何人投げたら、五段をくれるんですか・・・?」 その2。 重さ500kgの機関車の車輪を、ベンチ・プレスで挙げたらしい。 その3。 極真の大山先生がボディビル特訓時代、ベンチ・プレスが挙がらなくなると、キリで尻を刺して無理に挙げさせたらしい。 ちなみに上記の逸話は『怪力法』からの引用ではない。あくまでも俺の、若木氏に関する又聞きの又聞きなので、真偽のほどは定かではない。 しかしながら『怪力法』は、それほどの伝説を残した人物が遺したトレーニング教本である。実にインタレスティングにしてエキサイティングだ。 具体的なトレーニング方法もさる事ながら、カラダを鍛えるに当たっての諸々のハナシも興味深い。 最後にひとつ、『怪力法』の中で俺の心を捉えた部分を挙げておこう(まだ半分くらいしか読んでいないが)。 若木氏は、ダーウィンの進化論について少し語った後、こう書いている(要約)。「人間は神の子孫でもなければ、サルの子でもない。こんな事について喜んで話しているヒマが有ったら、カラダを鍛えたまえ!」 なんだか、全てを覆してしまう強引さと説得力だ・・・。