2659317 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

madamkaseのトルコ行進曲

madamkaseのトルコ行進曲

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

madamkase

madamkase

Calendar

Favorite Blog

Comments

 marnon1104@ お久し振りです (。≧ω≦)ノ!! kaseさんのお誕生日だったのですね。 お元…
 marnon1104@ Re:トルコでシュウマイはいかがですか?(07/08) kaseさん、こんにちは(*'▽')♪ …
 madamkase@ Re[1]:渡航記念日(03/16) 高見由紀さんへ こんにちわ、イスタンブ…
 madamkase@ Re:渡航記念日(03/16) marnon1104さん、こんにちわ。 3月に書い…
 madamkase@ Re:トルコでシュウマイはいかがですか?(07/08) ひなのさん、おひさしぶりです。 トルコは…

Freepage List

Headline News

2016年02月05日
XML


【2月5日・金曜日】


 今日は朝のうちから風も強く、午後からは横殴りの雨の降る寒い日だった。3時過ぎ、1本の電話がかかってきて、前夜ナイトクラブでぼったくりに遭った日本人の大学院生Q君で、訪ねて行った領事館から、この人に相談してみなさい、と私の電話番号を教えて貰ったのだそうだ。

 彼の泊まっているホステルもタキシム広場周辺とのことなので、5時にトゥルンジュ・パンパンで待ち合わせすることになり、私は猫達に餌を配って家を出た。

 あいにくの空模様で、夕方になればなるほど風雨が激しさを増してきて、タクシーも拾えないまま、傘を半開きにして近道の急坂を上った。店で待つことしばし、やがて店を探しながら到着したQ君は、色白のおとなしそうな若者だった。

 トゥルンジュ・パンパンの店長ライフさんや弟のハカンさん、末弟のオカンさんは、3週間ほど前に私が、ぼったくり被害者のX青年と夕食を食べた後、降りしきる雪の中をベイオール警察を目指して徒歩で出て行き、そこから事件の管轄署のシシリー警察まで行き、そこに偶然立ち寄った非番のY警部の協力で、被害額の75パーセントを取り戻して、夜中の1時過ぎに店に戻ってきたことを知っている。

 傷心の若者を何やら励ましているように見える私の話しぶりから、察しがついたようで、ライフさんが「また同じ話かい? 夜まで待てば全額とは行かないまでも、人を遣って話をつけてやるよ」と言ってくれた。

 Q君に伝えるとお願いします、と言う。彼が領事館で貰った被害状況の書き込みフォームや、店の名前、領収書などを、ライフさんはガルソンのアブデュラー君にコピーを取りに行かせ、しばらく待つように言った。

 あたりがもう真っ暗になり、雨風がますます激しくなってきた。9時近くまで待ったが、ライフさんの方で何か進展があるようにも見えないので、Q君は次第に不安になり、とうとうやっぱり警察に訴えたいと言い始まった。

 私も通訳としての依頼者である彼の意向は尊重しなければならないので、ライフさんにもその旨伝え、店の場所がイスティクラール通りのソカク(横丁、細道)なので、まずベイオール警察署に行くことになった。

 外は吹き降りが最高潮に達していて、特に丘の頂上にあるタキシム広場から吹き下ろす風は、イスティクラール通り他の道路は風の吹き抜け道となっており、たちまち傘がお猪口になってしまうほどの荒れようだった。

 ベイオール警察に行くには坂道をまた下ることになり、バルバロス・ブルバル(大通り)の出口にある警察署では、そうした犯罪はイスティクラール通りの別な分署で扱っている、とそちらに行くように言われた。

 せっかく降りて来た坂道をまた傘を飛ばされないように屈み腰で歩き、ついでにぼったくりナイトクラブの店のありかを確かめてから行こう、と思いついてQ君が話していたソカク(横丁、細道)の反対側から入って行った。

 タルラバシュ・ブルバルはタキシム広場から急速に金角湾に向かって下りて行く坂道なので、イスティクラール通りのほうが山の尾根道にあたるので高い場所にある。この2つの大きな通りを結ぶソカクはどれも急な坂道となっているのだった。

 もう既に革靴の内側までびしょ濡れとなってやっとイスティクラール通り中ほどのソカクの奥にあるベイオール警察の分署に到着した。(この分署はわが家からは近い場所にある)

 さほど待たされることもなく、ほどなく主任風なポリスの前で、Q君に、誰がどんな風にしてぼったくりナイトクラブに連れて行ったか、何時から何時頃まで何を飲んでいたか、ホステスがついたか、彼女達は何を飲んでいたか、などなどを聞き、1時間余りかかって調書を作成、ぼったくりナイトクラブを訴えるかどうか、と最終段階に入った。

 そしてQ君はぼったくりナイトクラブを相手取って訴訟を起こすことになった。その意思をもう一度確認されていよいよ席を立とうとした時に、ライフさんから電話がかかって来て、「もう書類作成は終わりましたか、まだ途中なら、すぐに取りやめてうちの店に戻って来なさい、相手に交渉を始めたら、余計払わせたことを認めて飲み代の一部を返すと言っている」と言うのだった。

 そこでたった今調書を書きあげたばかりのポリスに頼んで、これを取り下げて貰う別な依頼書を申請することになった。

 これはほどなく出来上がり、トゥルンジュ・パンパンに戻ることになったが、警察を出る直前ライフさんから電話が来て、「途中であのナイトクラブの差し向けた人物が、君を待ちうけていて、直談判しようと声をかけるかもしれない、話し相手にならないようにしなさい」と警告があった。

 外に出ると幸いあの嵐のような雨風はずっと穏やかになっていて、私はベイオールの裏の裏まで道を知っているので近道を行こうとしたら、はたしてその角にあるロカンタ(食堂)で待っていたらしい、コートを着て毛糸の帽子を被った男が表に出て声をかけてきた。店の中をちらっと観察すると、連れらしいもう1人の男が座ってこっちを見ていた。

 「ハヌムエフェンディ、お疲れでしょう。どうですか、ここでいっぱい熱いチャイ、コーヒー、何でもお望みのものをご馳走させて頂きますよ、ちょっとだけ寄りませんか」

 「ベイエフェンディ、あなたがどなたか見当は付きますが、直接存じ上げないのでそれはお断りします。私達は先を急いでいます。まずトゥルンジュ・パンパンに戻ります。話はそれからです」と、やんわりと断って、あいにく工事中のどうしようもない泥道を抜けて店に急いだ。

 風は少し収まって来ていたが、雨がまだ降り続け、警察の中がかなり暖かかったので外の寒さが身にしみた。男達は私達の後を追って来て、ほどなくトゥルンジュ・パンパンに到着すると、後から店に入ってきた。

 ライフさんと、ライフさんの知り合いのウールさんという30代半ばくらいの男性が、後を追って来た男達と店の入り口わきの席で話を始め、ほどなくライフさんが一番奥の席にいる私達のところに来て、飲み代2,300リラ(2016年2月4日のレートで93,370円)のうち、1,000リラ返す、と言っている、と告げた。

 私はQ君に、その額では承知出来ないと言いなさい、と入れ知恵をした。被害者にすれば騙されて連れて行かれたのだから、全額返してほしいところだろうが、自分の不注意もあってぼったくられたのだから、半分でも返ってくれば見つけものであろうと私は考える。

 長い時間かかって、ライフさんと男達の交渉が続いているらしく、次の金額提示はなかなか来なかった。最終的に向こうは1,500まで出す、と言っているとライフさんがまた来て、私達の席に腰を下ろした。

 「1,500なら悪くないよ、Q君。あなたにとっては悔しいだろうけど、実際に飲み食いしているわけだし、800リラだって高い飲み代だけど、これに懲りて、このトゥルンジュ・パンパンみたいに明朗会計の店でだけ飲むようにした方がいいわよ」
「はい、もう重々懲りています」

 Q君は素直に言ってライフさんと握手し、礼を言って、深々と頭を下げた。

 かくて、留学期間中、ホテルと言っても1泊25リラ(1,000円)程度のユースホステルで、自炊しながら切りつめて暮らす若者に同情したライフさんと、その友人達のおかげで飲食代として払わされた2,300リラのうち、65パーセントに当たる1,500リラが戻ってきた。

 私も通訳の日当を25パーセント値引きして彼に協力し、午前1時半頃帰宅したが、やはり風雨の中、坂道のきついベイオールを歩き回ったことから疲労と寒さにやられてしまったようで、タクシーで帰ってきたとは言いながら、体中の力が抜け、足取りも重く家のドアを開けたのだった。

 部屋の明かりをつけ、パソコンの前に座ったら、いつもソファに座っている猫達が全然いないのに気づいた。何か音がするので、ふと天井を見上げた私の目に、信じられないものが映った。

 天井の一角から、雨水がシャラシャラシャラ、とかすかな音を立てて細い滝のようにソファの上に落ちているのだった。え~っ、と一瞬何が起こっているのか理解できなかった。わが家は地上7階建てのアパルトマンの4階であり、天井から雨漏りなどあり得ないことだった。

amamori6  
これからまた、強い雨が降るごとに心配が増えました。

amamori5  
家中のバケツと、棒ぞうきん、古タオルなどを総動員



 ぐったり疲れているので、すぐにも横になりたかったが、そうもしていられない。ソファの下から水が床に流れて広がっていた。大急ぎでパスパス(棒ぞうきん)とバケツを持ちだし、床の上を拭き掃除し、びっしょりと水を吸って重くなったソファを手前に寄せて、4つのバケツを水の落ちる個所にあてがい、その周辺は古タオルやもう要らない衣類などを並べて水を防いだ。

 明日は雨がやんでくれますように。水害に遭った人のことを思えば大した出来ごとじゃないけど、人助けに行って自分の家が守れないなんて・・・ 泣き笑い泣き笑い

 そしてもう明け方、雨漏りの勢いが弱まったのを見届けて、私はぐったりとして寝床にもぐりこんだ。熱があるようだ。もう一度起きて常備薬を2錠飲み、横になるとこの薬の睡眠作用でぐっすりと眠ったようで、目覚めたのは土曜日の8時過ぎだった。それでも4時間しか寝ていないのか。ほんと、こんな調子で体が持つかしら?






   かに座さそり座いて座
かに座さそり座いて座



madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房)




猫猫「チュクルジュマ猫会」猫猫




海泡石のパイプやアクセサリーと、「宮古島月桃」の買える店

ピンクハート青ハート  アントニーナ・アウグスタ  緑ハート黄ハート














お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2016年02月29日 01時41分07秒
コメント(0) | コメントを書く
[やってよかった/やらなきゃよかった] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X