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カテゴリ:やってよかった/やらなきゃよかった
【7月24日・日曜日】 日曜日の朝、私はいつものように5時半頃には目が覚めていて、目ざまし時計が鳴る前に起き、夕べのうちにこんにゃくや大根など、主な材料は煮ておいたおでんもどきに、さつま揚げ風なものを足そうと、固からず柔らかからずに小麦粉を練って、シーチキンとネギ、ニンジンを刻みこみ、スプーンに1杯ずつの大きさで揚げて行った。 やはり魚の練り物が入るとちょっと一味違う気がする。野菜や干し椎茸やら昆布を入れて炊きこみご飯もシーチキンを入れて炊き上げた。これにほうれん草のおひたしや、キュウリのからし漬けなどで3人分の弁当として、オスマン朝時代の遠征や狩りに行く時は欠かせなかったと言う、セヘルタスと言う、銅製の弁当箱に詰めて、家を出た。 明るいユカさんのアパート・ホテル。船着場からも近いのが魅力。 遠くに行くにも便利。水ものがあってもまずはこぼれない。 大人気のセヘルタス。猫にも襲われません。 11時半のカラキョイ発の連絡船に乗り、きっかり20分、カドゥキョイの波止場に着いて少しするとユカさんも迎えに来てくれたし、美樹さんもほぼ同時に到着、ユカさんの借りているアパート・ホテルは歩いても行かれる距離だとのことで、日曜の昼で賑わう波止場付近を横切って、10分程度坂道を上って着いたところは、2階のひろびろとした角部屋で、明るい陽光がカーテン越しに差し込んでいた。 まずは最初に弁当を食べることにし、私が袋からセヘルタスを出すとおおいに受けた。ちょっとお茶目なオスマントルコ式弁当箱でまずは雰囲気がぐっと和やかになり、食後ユカさんの淹れてくれた紅茶やビスケットを頂き、一息入れてからいよいよセラピーが始まった。 前もって問診があり、これは2人一緒に話を聞いて貰ったが、美樹さんはエブルのヒクメット師匠から、「そろそろ個展でも開いたらええな」と2年近く前から言われているのだが、師匠の展示会が多いので1年中そのサポートで忙しく、自分の作品を作りためる暇がない。 私はユカさんが本格的セッションをフルコースでやると3時間くらいかかるらしいので、セラピー初体験コースで子供時代の自分に会わせて貰うことになった。美樹さんから寝室の方でセラピーが行われることになり、待つ間、私は居間の長椅子に横たわってうたた寝してしまった。 自分で思うに私は、ロケットのような速さで宙を飛んで行くように生きているような気がするので、セラピストの誘導で、何も考えずに子供時代を想い浮かべる、というのもこういう機会でもないと絶対ないと思われる。そこで、素直に声に従っていた。 今の生き方は悪くはないが、もう少し睡眠時間がほしいとか、ゆっくり本が読みたい、などの欲求が全く叶わないので、病気やけがで横たわっているのではなく、自分が横たわっていても何の支障もない時間がほしい、とたまには思うこともあるため、大変素直にユカさんがゆっくりと誘導して行く声に従っていた。 3~40分でまとめて貰ったのだが、不思議なことに、実生活ではたった30分たりと何もせず横たわることはあり得ないので、ずいぶん長い時間休憩したような気がした。そして5つ6つの子供ながら、周囲の人々の顔色を見ながら、はらはらと暮らしていたおかっぱ頭の小さな女の子を、とても可哀想に思った。 その子供のキャラクターが、今の自分とまるっきり違いがないというのも面白いと感じた。ユカさんの持ち味の、春風駘蕩とした雰囲気や声が、すでにクライアントを休ませる力を持っているのかもしれないな、とも思った。 ユカさんにお礼を述べて、5時頃あたふたとホテルを出た。表通りに出てタクシーを拾い、ウスキュダルの船着き場の近くで美保子さんと待ち合わせているので飛ばして貰った。 日曜日なので、今日も「デモクラシーの番人」となった国民達が旗を持ってもう右往左往している。16日からずっとこの調子で、今日はタキシム広場で「デモクラシーの番をしましょう」と呼びかけるのが、最大野党のCHPだというが、AKPのやっているのとまったく同じに国旗を振りながら、MHPも来ているし、もう大連合軍と言う雰囲気で、和気あいあいだったらしい。 船もバスも電車もすべて無料で乗れるのはいいのだが、浮かれている場合ではないだろう、首を切られた人はこれからどうやって仕事を探すのか、と余計な心配をしてしまった。 美保子さんも余りに道が混んでいて、バスがなかなか来ないので、とうとう待ち合わせの店まで歩いて来てしまったそうだ。 5月初旬から勤め始めた会社がとても忙しく、2ヵ月半ぶりに出会った美保子さんが、もともと細身だったのに、更にぐんと目立って痩せていたのに驚かされた。 美味しいモンブラン、美樹さんがご馳走してくれました。 残業が多いので、一時期仕事がなくて困っていたことを考えると、働かせて貰えるだけでもありがたいし、と彼女は言った。私のように食べなくても痩せない人間からすれば、華奢過ぎて病気にならなければいいけど、と言う思いが強い。 ケーキやチャイは美樹さんのおごりで、私はずっと前からほかの人から預かっていたお土産などの品々をやっと美保子さんに届けることが出来たのだった。 店を出たのが8時少し前、地下鉄マルマライは海底トンネルを抜けて行くので乗れば早いのだが、入り口で身体検査が行われているため、長蛇の列が出来ている。 美保子さんが見送りに来てくれたが、「やっぱり船で帰るわ」と言いながら電車はやめて、これも無料の市営連絡船でカバタシュに帰った。カバタシュまで10分くらい。上陸してすぐに海岸通りを渡り、来合せたタクシーで一気に家に戻ったのが、8時半になるか、ならず。 夕日に向かって船が滑るボスポラス海峡 おうちビールを1杯、いただきました~。 まだ空は薄明るいので猫達にしっかりと夕飯を作ってやり、残っていた炊きこみご飯とおでんもどきで、ビールを1本抜き、夕飯を済ませた。 7時から行われたタキシム広場の「民主主義を守るミーティング」は、小競り合いすら起こらず、平和のうちにみんなが大満足して夜中の1時2時に帰宅したそうだ。 いつでもそうあってほしい、党派やイデオロギーが違っていても、すぐに殴り合いするのではなく、心を一つにして、それも偉い人の命令ではなく、自発的にそうであってくれれば、トルコももうとっくに先進国の一つなのだけど。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年07月30日 06時22分40秒
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