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カテゴリ:トルコと日本と世界の出来事
【5月14日・日曜日】 このところ、夜明けのエザーンは朝の4時半過ぎに朗唱されているが、もちろん夏至まではもっと早まって行く。今月の26日(土)朝から、イスラーム教徒の多くはラマザン(断食月)に突入するので、1ヵ月後のちょうど夏至の頃まで断食する人々の苦行が続くのだった。 朝6時からNHKのニュースやのど自慢を見た後、昨夜下ごしらえをしたコロッケを4つ揚げて、ご飯は炊かずスープを添えて、朝食を用意した。食べながらトルコのニュース局に切り替えてみると、おぞましい交通事故の現場中継をやっていたのだった。 何と昨日ムーラ県の有名なリゾート地、エーゲ海沿いのマルマリスに向かう国道のヘアピンカーブのある断崖から、1台の観光バスが下の道路に転落、乗客40人ほどのグループの中で少なくとも20人以上が死亡、10人以上が病院に搬送されて手当てを受けている、という大変な悲劇が起きていたのだ。 恐怖の事故が発生した急カーブ マルマリスの国道航空写真 3枚の現場写真はMilliyet新聞、その他のHaber Acansiから拝借 上天気にも恵まれて、さぞかし楽しい思い出になると思われた、母と子のバス旅行で・・・ 人気リゾート、マルマリスへの道は、山の斜面を開鑿したので急坂が多いのです。 このニュースは、このところいくら日本のメディアが、トルコに興味を失くしているとはいえ、同じように母の日を迎えた日本でも大いに注目を引いたものか、うちの娘からのメールにも「今日は悲しいバス事故のことで頭がいっぱいになり・・・・(以下略)」と書いてあった。日本でも、かなり多くのメディアで報道されたらしい。 バスが運転を誤って崖下に転落したとき、下のカーブを通っていた不運な乗用車も押しつぶされ、バスも車も大破、乗用車の中の3人も死亡して、午前中にこの事故での死者は24人と発表された。 私もこの道を通ったことが何度もある。このあたりは西トロス山脈に連なる、海岸線まで迫った急峻な山道を開鑿した道である。 私は2003年に撮影した、NHKの番組のコーディネーターを務めたときに、陶芸の町キュタヒヤから、マルマリスの土産物店で働く遠距離婚の夫に、商品となる自作の陶器を届けがてら逢いに行く、1人の若手女性陶芸家のエピソードの撮影で、ロードムービー風にカメラで追って初めてそこを通ったのだった。 その後、何度も通ったが、自分も通ったことのある道で、母の日のお楽しみに出かけた母と子を襲った、この恐ろしい悲劇にひどく胸が痛んだ。 近年では2014年8月3日に、16世紀のオスマン帝国の第10代スルタン・スュレイマン大帝の足跡調査のための仕事で、漫画家篠原千絵さんのご一行の皆さんとロードス島に渡るために、最初の訪問地ボドルムに1泊、次の日、ロードス島への連絡港マルマリスまで、チャーターしたマイクロバスで移動したことがある。 これが2014年に撮影したもの。もうマルマリスはすぐそこに 見えます。今回の事故はもう少し上の方で起きたと思われます。 途中の展望台からはるか下方に眺める海の景色は素晴らしいが、真夜中に起きたらしい事故なので、運転手が景色に見とれたわけでもあるまい。坂というものは、写真で見ただけでは、あまり険しい勾配には見えないが、このヘアピンカーブの角度は実際、非常に厳しい。 トルコは右側通行なのに左側の崖下に転落した様子で、反対車線に出てしまったのは、長時間運転で運転手が睡魔に襲われたのかもしれない。イズミール県のブジャ市から6台のバスに分乗して、楽しい母の日のバカンスに行く人々がこんな悲しみに包まれてしまったのが気の毒で、私もそれきりもう、ブログの続きなど書けなくなってしまった。 ほかの5台のバスで一緒に出かけた人々も、もうお楽しみ旅行会どころではなくなってしまっただろうと思われる。 私ごとになるが、私は23歳の時、バスで集団登校していた10歳の妹眞由美をバスから降りた途端にトラックに轢かれて亡くしており、仕事上必要となり、32歳のときに普通免許を取得した。仕事で20年余り乗っていたが、52歳でトルコに来て以来、国際免許を持ってきた最初の年だけは、2~3度イスタンブールで車に乗ったが、交通規則などどこの国の話? と言わんばかりの運転者が多いのに心底怖くなって、後は日本に行った時に息子が用意してくれた軽自動車に乗ったりしたことはある。 しかし、このところ日本の高齢ドライバーによる悲惨な事故の話をよく聞くようになった。私も74歳、もう実際には車を運転するのはやめようと思い、今年の誕生日を機に、娘に頼んで自主返却をして貰った。ちょっとさびしかったが、もう書き換えのために日本まで行くこともおいそれと出来ないし、それが高齢者の義務である、と思いきって免許証を書留で日本に送った。 今はそうしてよかった、と心底思う。高齢者でなくとも、何かの間違いで事故を起こすことはあり得る。しかし、加齢が進むごとに、事故を起こす確率はどんどん上がる。自分だけは大丈夫、と思わず、事故を起こした時の相手への迷惑、どんな大金を積んでも、本当の償いなど出来はしないのを知るべきだ。歳を取っていても運転出来るさ、という勇気ではない、返納する勇気を持つべきだと思う。 この度の不慮の事故で亡くなられた方々のご冥福と、負傷者の方々の 一日も早いご快復を心よりお祈りします。 Allah rahmet eylesin, mekani cennet olsun. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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