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カテゴリ:ヘテロソフィア・アート
アート大阪2013 のリーフレット 早いものでアート大阪2013が再び大阪グランヴィアホテルで開催されるというのでのぞいてきた。今回は1小間ももらさず見て回ろうと心に決めていたので4時間余りかけて全会場をくまなく巡って疲れ果てた。というのも、このアート展も定番化されてくるとそれぞれの作家たちもこの展覧会を意識した作品づくりを心掛けているようで、年々充実してきて、創作の熱量も尋常ではなく圧倒されたからでもある。 このアート展での僕のお目当ては、金田みやびさんの主宰するギャラリー・点(Gallery Ten)で、加賀というトポスの雅びを中心に据えた伝統工芸とアートの接点をうまく生かした若い作家を数多く育ててきており、民藝に通じるアート世界の展開に他ギャラリーとはいささか異なる切り口を示していて、目が離せない。 今回も金沢美術工芸大学、卯辰山工芸工房周辺の気鋭の作家たちの作品でホテルの6015号を満たしていて、この1年のギャラリー点のめくるめく活動のほどがしのばれうれしくなった。
Gallery TenのART OSAKA2013に向けてのカタログ(表・裏) 今回の出品作家は9名で、陶のクニト(1981年奈良)、彫金の河野迪夫(1984年茨木)、ガラスの静観朋恵(1977年大阪)、同じく笹川健一(1981年横浜)、所志帆(1976年岐阜)、日本画の高岡暁(1987年奈良)、清水香(1978年長野)、絵画の山室淳平(1980年北九州市)、そして山岸紗綾(1981年能美市)で、()の出身地と生年は、アートには時代精神に通じる世代というものが重要になるのであえて掲載させていただいた。いずれも既に国際的にも確固とした実績をお持ちの作家たちだ。
彫金作家で彫金世界を超える勢いの河野迪夫の作品はgallery Tenの目玉的存在 昨年空気感を湛えた陶作品で僕を魅了した、たしか神戸生まれの山本優美(まさみ!?)さんだったかにひょっとして会えるかなと思ってきたが、今回は出品されていなかった。が、そのかわりに木工・漆工芸の山岸紗綾さんが会場に居合わせ、一目みて手ごたえを感じさせる新しい世代の作家だと直観し、いろいろとお話しを伺った。
山岸紗綾(Yamagishi Saya)さんのリーフレット
(左)紗綾さんの師匠の山村慎哉さんの作品 (右)山室淳平さんの絵画作品 金沢には、かって泉鏡花のきのこ文学とのからみで北アルプス登山の帰りに立ち寄ってはほっつき歩いたものだが、機が熟せば今度はギャラリー・点の作家とその工房探訪を兼ねて是非訪ねたいと思っている。 今回は、みやびさんにぶしつけな質問を投げかけてみたが、率直な回答を得、やはり思っていたとおり、ご自身も表現者(彫金師)としてスタートし、同じ彫金表現者であった母親の工房のサロンを擦過する人たちを見て育つうちに自身の世界を極めるより次代を担う作家のプロデュースに徹しようと方向に転じ、それを使命と感じるようになって5年余りだという。 昨年お会いしたとき、ひと味違うアート世界のネットワ―カ―として注目してきたが、今回はじめてそんな個人的なプロフィールを聞くに及び、かけがえのない方にお出会いしたと思ったものである。僕の民藝とアートの狭間を訪ねる旅は、それぞれの点がつながり21世紀にふさわしい曼荼羅世界が動きはじめるまで歩き続ける他ないが、この加賀のギャラリーはそんな僕の展望を拓く上で、とても強烈な磁場を形成するトポスと感じている。
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最終更新日
2013年07月22日 19時52分56秒
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