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カテゴリ:ヘテロソフィア・アート
ART OSAKA 2013年の会期中に阪急百貨店で同時開催中の河野甲さんのレザーワーク作歴30年展は期待していたので、くたくたになりながら同日のぞいてきた。というのも、このART OSAKAに御縁のできたそもそものはじまりは、奥さまの滋子さんの渾身の作が2012年のアート展で展示されていて是非お出ましあれと招待していただいたことがきっかけだったからである。 ギャラリー点のみやびさんにも是非のぞいておいてほしいとリ―フレットを手渡してきた。 阪急百貨店は、改装後は庶民の僕には敷居が高くなりすぎてどうも馴染めないものがあり極力遠巻きにしてきたが、入ってみてやはり、どうも売り子と客の距離に白けたものを感じてしまう。なんというか間が悪いのだ。 しかし、午後7時を過ぎたアートギャラリー会場は森閑としていて、じっくりと作品を見ることができ、はたまた、百貨店の間の悪い雰囲気がさいわいして甲さんとも久しぶりに本音の対話をたのしむことができた。 お互い尾をひく節目の歳月をどうクリアするかに悩んでいるところでもあり、いきおい話題は老いさらばえてなお青春しつづけるための処方箋を語り合うことに。 彼は、この作暦30年展でようやく自分の表現対象が無意識に求めてきたものが過不足なく満たされるものとしてかたつむりと出会ったことのしあわせを語り、それへと向かう自分の後ろ姿になにか安堵の感情を抱いている様子で、これまでで一番明るい表情を湛えていたと僕には感じられた。この道ひとすじを貫いてきたからこその告白で、会場に所狭しと居並ぶかれのイメージの残滓が、かれの訥々語る言葉に共鳴して大音声となってこだましていた。 僕は甲さんの技術力もさりながら、その作品に込められた思想に共鳴してきた人間なので、お互いの晩節を達成感を持たず、途上にて終えるための決意をさまざまに語り合うひとときとなって、かってブルース・リーの『燃えよドラゴン』を見て映画館を出たときのような全身の毛穴から蒸気が吹き出ているような感覚にとらわれながら別れた。 こんな彼なので作品は推して知るべし。解説はしない。
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最終更新日
2013年07月27日 22時39分01秒
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