夢みるきのこ

  おいおい、色呆け爺ぃがまた変なものを拾ってきたぞ。

  なんじゃこれは。椿の実でもなし・・・。

    とムッシュ・コレッキリ、いやムッシュ・カマキリ君が冷たい一瞥。

　れれれっ!、なんじゃもんじゅの変なもの騒動が収拾つかないままに収まれば、今度は変な物喰い始めたぞ!!

　何でも猛毒のトラフグの卵巣の塩漬けとか。

　3年塩に漬ければ酵素の力で毒も抜けるとか・・・。嘘も100ぺん言い続ければ本当になるなんて言うからさもありなん。

　株式会社あら与なんて愉快な名前だねぇ。

　「あらなんともなやきのふは過ぎてふぐと汁」なんて芭蕉の句からとってきたのかも。

　山梨のゆずワインなんてものも出てきて、たちまちカラに。おそらく外道ながらうまかったのだろう。

　「いよいよ来春からは醸され隊始動しまっす!!」なんて河豚の白子喰ってしびれながらマダラのおっさんがへらへら言ってら。

　ツワブキの黄が旧家の庭の薄暗がりに。何かシャキッとしますね!。ところでシャキーラちゃんの音楽活動は続いておるのかな。最近トンと聞かなくなったね。

　おっと、色呆けジジイの呆け具合に感染しちゃいそう。そうなんだ、色呆けの阿呆につきあっている暇はないわ。すでに冬がそこまで。　

　床の間には、河内木綿の原材料の綿の実。あの白いふわふわの中に黒い種子がちらほら。

   街道の冬は早いぞ。うかうかしていると冬ごもりしそこなうぜ。

　日が沈むとたちまち寒気が襲ってくるぞ

　隔夜堂に月が昇っている。ああ、せわしい秋の暮れじゃのう。

　だんだんあの月みたいに目が点になっていくわいな。

　　『ムッシュ・カマキリのこれっきり人生』より