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カテゴリ:ヘテロソフィア・アート
川西市美術協会の展覧会が過日10月14日~10月19日まで開かれ、仕事の合い間を縫って駆け足観覧してきた。 近年、新しい芸術家集団と出会い、とみに勢いづいてきた澤山画伯だが、僕が「白の時代」と呼んだ胡粉を多用する作風に転じ、様々な新たな素材を貪欲に吸収して日々更新を遂げてきたのは言うまでもない。 しかし、ここ数年来の彼の作風が根底からくつがえし、決定的かつ日本画本流での新機軸を打ち出してきたのには全く驚いた。 この作風の延長上に彼の画風の円熟ならぬ乱?!熟期が透かし見えて、大いに励まされて帰ってきたものだった。 同会では毎回楽しみにしている優れた作家が数名いるのだが、今回は画伯のNEXT STAGEともいうべき画境に突入した記念すべき年と感じたので、他の作家たちの評は、またの機会に譲ろうとおもう。
こちら(写真上)は、2年前に開かれた二人展での1作品。以下のもの(写真下)は昨年の川西市美術協会展に出された作品である。 あそび心満点のタイトルとは裏腹に、以前のものは、作品そのものが寡黙で鑑賞者の思い入れをシャットアウトするような「てめえら、黙っとれ!」西鶴流に言えば「そしらばそしれ、わんざくれ」とでも言えそうな倨傲さが見え隠れするものであったが、ここ数年の間に刻々急旋回を遂げ、ジャズ演奏でいうところのデュオに於けるインタープレイのごとき対話的手法が作品そのものから石清水のように滲みはじめたことだ。 これは、日本画における抽象画を手掛ける異端児と呼ばれるだけで満足していた画伯の、残りの人生を賭けたいのちがけの転回であろうと感じたのである。 今回の作品では、まだ画伯の言葉は吃音まじりでストレートには伝わってこない嫌いはあっても、赤子の喃語(なんご)のような、言葉に分節される直前のつぶやきが聞こえてくる。 ぼくには本展での作品は、うん十年つきあってきた彼の作風の大いなる画期と受け止め、いよいよこの道の作家としての第一歩を踏み出したことを心より慶んだ次第である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年11月05日 18時26分33秒
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