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2016年03月04日
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カテゴリ:ロシアクラブ

            ウリツカヤロシア語読本 (5)0005.jpg

        ロシア語ページ

  異色のロシア語読本テキストがようやく出来上がりました。肩書のない単なるロシア語愛好者によるロシア語学習者のための読本テキストが異色なのではありません。

 では、何が異色なのでしょうか。

 それは僕たちにもあずかり知らぬことでした。マダラーノフに至っては、毎回末席を汚してはいましたが、緻密な研究態度で一語一語を検討していく3名の人たちにひたすら圧倒されるだけで終わってしまったように思えます。僕は、言葉を文法に照らして考えることが全く苦手ですので、制作に当たってはほとんど戦力とはなりえませんでしたが、空白部分を埋める挿絵提供ということで名前を並べさせていただきました。

 しかし、徐々にウリツカヤの世界が日本語に転換されていくうちに、ここに掲載された珠玉の短編には、別の意味で感動しました。その内容が異色だったのです。

 それは、僕よりもこの購読をはじめようと持ちかけた千恵さんが「はじめに」で十分に意を尽くしていますのでそのまま掲載いたします。

 月に一度、細谷徹、輿水則子、扇進次郎、扇千恵の4名でロシア短編小説を読む会を始めたのは2010年のことでした。やがてリュドミーラ・ウリツカヤの "Детство сорок девять" 『子供時代49』(『短編集』エスクモ社刊、2009)のうちの数編を詠み終えたとき、これらの作品を使って初級読本のテキストを作りたいという願いが生まれました。

 戦勝国、敗戦国を問わず、戦争は国土とそこに住む人間心に荒廃をもたらします。特に大人の計らいによって、何の責任もない子供たちが蒙る被害には限りがありません。彼らは自分たちの置かれている状況を理解するすべないまま、とにかく「けなげに」生きるより他ないのです。その「けなげさ」に思いがけないプレゼントが与えられる…そのようなウリツカヤの物語を私たちは愛しています。

 ロシア語初級文法を学んだ学生を対象に、左ページの原文を理解するうえで参考となる文法事項の注釈を右ページに載せました。4人で丁寧に読み進めながら、文法事項と翻訳の確認を行ないましたが、間違いに気づかれた方にはご指示をお願いする次第です。

 原文にアクセントをつける作業はエリザヴェ-タ・ファミナーさんにお願いしました。このテキスト出版のための版権取得に多大なご協力をくださった神戸市外国語大学名誉教授リュドミーラ・エルマコーワさんに心から感謝いたします。

  2016年2月

 このささやかな冊子が上梓され手許に届くまで、このロシアのけなげな子供たちの生の断片が「厭戦の書」という暗流に貫かれたものだったことは、当事者の僕たちでさえ明確には理解していませんでした。

 ウリツカヤロシア語読本 (3)0003.jpg 200px-Lyudmila_Ulitskaya_40001.jpg

        日本語ページ          リュドミーラ・ウリツカヤ

 後半は日本語の完訳もついていますので、ロシア語部分は飛ばしても、ぜひ一人でも多くの人に読んでいただきたいと願っています。

 ロシア語読本テキスト

  リュドミーラ・ウリツカヤ短編集

  ・キャベツの奇跡 

  ・もごもご爺さん 

  ・蝋づくりの鴨       (3編所収)

  A5判頒価 44ページ 

  頒価 600円 (内税)






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最終更新日  2016年03月04日 21時53分32秒
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