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夢みるきのこ

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2016年04月10日
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    NEW FRIENDS (6)0008.jpg

 数日前、この「夢みるきのこ」ブログでいち早く図像を載せて訪問のお礼をいたしましたが、今年一番に来訪してくれたモスラちゃんは「アカエグリバ」Oraesia exavata

 このモスラちゃんは、幼虫の頃は、スギヒノキ林に絡み成長し植林事業を阻害するアオツヅラフジを食べて育つ優れもの。このアオツヅラフジは、近年、希少種となりつつあるフジヅルにとって代わり細工がしやすく容易に手に入ることから籠編みの材料として注目されはじめました。僕のムックきのこクラブの前身の日本キノコ協会は、かって籠編み部会も作っていささか林業にも貢献してきたのです。

 自然世界では、アカエグリバくんは葉っぱに擬態したいでたちで迷彩の名人と言いたいところですが、人工物のコンクリートずくめのマンションなどではかえってその擬態ぶりがけなげで目立ってしまいます。困ったものです。

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 そしてモスラくんのわかりにくさは、このエグリバグループがなんとヤガ科に属していることです。ヤガ科といえば、矢じりの形からくると思いますので、ただちに数日前にご紹介したお名前不詳のおしゃれモスラちゃんのような形を想像しますが、このけなげなモスラちゃんがヤガ科とはただちには納得できないものがあります。

 なにはともあれ今年もふらりやってきて挨拶してくれましたので、うれしいことです。こんなささやかな出会いの喜びを積み重ねていく人生を送りたいものです。

 ムックきのこクラブはいよいよ発酵文化に急旋回をはじめていますが、きのこちゃんたちとの出会いの楽しみはきちんと抑えています。それはきのこを食い物としか考えない人や分類学に貢献しようなんてことに執着する人たちで二極分解を続ける大方のキノコ屋さんとは異なり、きのこを目には見えない土壌と地球の緑の状態を知らせてくれるバロメーターとして受け止め絶えず野に出でて、「美しいね」と声をかけ、ひたすら彼らの語る声に耳傾けるデートを続けることがなぜできないのかとずっと思ってきました。

 アマチュアが分類学に付け加え得る新しいことなど一つもないと30年前から言い続けてきたことが、ようやくやっと理解してくれる人たちの登場を得て現実化してきたということですね。どんなつまらないことでも、いざ真剣に取り組みはじめると、こんなに長い発酵過程を経なければ醸し出されないのです。

 だからこそ、僕の世代でできなかったことを次世代に伝えていくための事業体が必須なのです。組織嫌いの僕が会や事業にこだわるのは、つたえるべきことは、たとえ孤立無援の身であってもこの地上に生を受けたものの責務として伝えなければならない。

 そして、それは利用されつづけてきた一市民が、自分の好奇心や関心をベースにしてちょっと背伸びを続け、少しずつ知識を身に着け、表現者として自立していくことをおいてありえないのです。

 この本当の意味での草の根運動をカビ酵母きのこなどの真菌類に代表される微生物のネットワークで少しずつでも加速しなければ、レミングの死の行進をはじめた地球の自滅速度に追いつかないなと考えています。

 しかし、決して怒らず、慌てず、そして淡々と自身の信ずるところの「こと」と「もの」を全身全霊で表現していかなければなりません。不揃いのきのこちゃんたちは不揃いのままでどうぞ、この頼りない寸足らずの指にとまっていただきたく願っています。

 その意味でも今年の「昭和の日」の慰霊の集いは、ささやかなサプライズも用意しておりますのでどうぞご参集のほど。






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最終更新日  2016年04月10日 13時30分12秒
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