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カテゴリ:ヘテロソフィア・アート
奈良盆地の真ん中あたりに位置する田原本で開催された「ぬばたまの夜渡る月」と題された二人展。田村一博氏には回顧展。奈澄和侑子(なずなゆうこ)さんにとっては田村氏の作品に触発されて選んだ月をテーマにした作品が並んでいた。この地は秦氏やさすらひ神のアマテラスにゆかりある地でかって幾たびか訪れたことがある。 田村一博さんの屋敷をギャラリーにしたとてもおしゃれなアート空間で、静かに自己主張をする作品群はまさに水を得た魚のような居心地のよさを語りかけていた。会場はその名もギャラリー・月の聲。月づくしのアート展は私にとっては嬉しい限りのもの。 田村一博さんは本来、石の造形作家だったが、やがて漆と出会い、陶胎(とうたい)という技法の中でもとりわけ困難な自然石に漆を施す技術を編み出したお方と聴く。その技術は、氏の共同制作者であり、会場でお会いした造形工房・和月の石田瑞夫さんが鋭意・継承されているという。 お二方とも金沢で技を磨かれ、石の素材も溶岩の大根島石と金沢城の石垣に用いられている戸室石が主と教えてもらった。溶岩の大根島石は香炉に、戸室石はさまざまな皿や器に。 写真上3つは大根島石の香炉。下2つは戸室石の漆器。 いずれも漆器とは異質の重量感と存在感を漂わせていて新鮮だ。 かたや、「かな」がご専門の奈澄和侑子さん。以前、同じ田原本のギャラリー凛で開催された朗読会のおりに展示されていた大作に接したことのある私は、おんな手の<豪>の作家と受け止めていたが、今回は<柔>の面を全面に滲ませた心和む作品で満たされていてその多彩ぶりに驚かされた。 月は無限のモチーフをもたらしてくれる。このテーマはぜひ、シリーズで追いかけてほしいものだ。 このささやかな旅では、和笛の名手で総合アートプロデューサーでもあるうなて氏ともお出会いすることが出来、ゆっくりとお話することができた。話すほどに共鳴するところが多々あり、筆の立つ彼とは今後さまざまな局面で若い友人としておつきあいできそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年09月27日 11時38分14秒
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