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夢みるきのこ

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2018年06月19日
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 図書館の帰りにかってキヌガサタケの隠れスポットであった天神の杜を覗いてきた。県土木局の環状道路をつくる際にそのキヌガサのお宿は根こそぎつぶされてしまった。                        県立有馬富士公園開設の当初から日本キノコ協会として「夢・自然・きのこの祭り」をメインに各種講座で全面協力してきた私たちだったが、その何度目かの祭りの際に、環状道路整備として浮上してきた工事予定地がキヌガサタケの生息地であることを、工事の概要の新聞記事とキヌガサタケの写真を添えて展示し、その竹林が道路になるということをさりげなく訴えた。    
  ところが、この記事をみとめた有馬富士公園の「人と自然の博物館」の自然保護の先頭に立つべき研究員や職員
(当事者の土木局ではない)が飛んできて頭をさげられて「どうか、あの展示パネルだけは取り下げてほしいのです。県土木局が今一生懸命力をいれている事業ですので」と泣かんばかりに頼まれた。きのこは竹藪のひとつやふたつなくなったくらいで絶滅することはないので、「事実は知っておいてもらいたいですが、そこまで言われるなら取り下げましょう」と快諾した。

 しかし、その後がいけなかった。道路工事がはじまると、頭をさげてきたまさに同じ人たちがその天神の杜の藪の斜面にあったキツネノカミソリを「キツネノカミソリ救出作戦」と題して道路工事の犠牲になるところを別の場所へ移植するのに成功したという美談の形で神戸新聞に大々的に掲載したのだ。
 市民と研究者たちが一丸となって自然環境整備に献身するという鳴り物入りでできた自然公園に準備の段階から協会を挙げてかかわってきた私たちだったが、「なんと姑息な」とあきれ返り、その時を境に10年余りお付き合いしてきた博物館と有馬富士公園の活動から一切手をひくことにしたのだった。
 その跡地は潤沢な資金提供で、古色蒼然としていた社地は近代的に整備され、竹林の大半は誰も利用しない寂しい公園に変わり、荒れ果てた竹藪が境内の周縁にわずかばかり残っていた。
 やがて、したたかなきのこたちの王国に戻っていくことだろうが、それには時間がかかる。

 しかし、その予兆ともいうべききのこたちが、公園の方々から声をかけてきた。ヤブレベニタケくんたちだ。公園のそこここに雨待ち顔でボコりボコりとご挨拶。なんともうれしいひとときだった。





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最終更新日  2018年06月19日 14時41分58秒
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