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カテゴリ:マダラーノフの独り言
単行本・中央公論新社 文庫本・岩波現代文庫 月のしずく印刷に付して出来上がるまでの4、5日間が私のもっとも自由で気ままな時間だ。このときは長い間棚に並んていて、うっすら埃を帯び始めたモダンジャズや熱帯音楽のCDを聴いたり、自分自身のライフワークに直結する課題図書とは無縁の小説や読み物をひもとくことにしている。 18号(霜月・師走号)を脱稿した今回手にしたのは、三浦しをん著の『愛なき世界』だ。読み始めるととても面白く、しかも現在私が『月のしずく』で掘り下げはじめている生物の生命誌の問題に直結するテーマを実に見事に描写、展開していてうならされる。今、東大安田講堂前の植え込みにひそかに植えていたサツマイモ掘りのシーンからヒロインがシロイヌナズナの四重変異体をつくるために奮闘しているシーンまで読み進めてきて、今夜中に読み終えたいと考えている。 17号脱稿した前回は梨木果歩の『海うそ』を読んだ。海うそは海洋に棲息するかわうそが群れる日本列島の架空の島を踏破する人類学者が出会う人間模様を中心にこの列島に固有の文化人類学的な問題にふれる作品だった。もっとも自分に縁遠い世界をのぞくといいながら、最も近いテーマに触れる作品に出会ってしまうのは因縁めいているが、ページに余裕ができれば、ぜひ『月のしずく』でも取り上げたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2018年10月30日 22時34分08秒
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