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カテゴリ:マダラーノフの独り言
銀行、郵便局へ行く用事が出来て、羽束山を眺めながらの外出。 紅葉の錦というにはいささかミクロすぎるが、車中よりのお手軽ショットにつき失礼。 この10月半ばより籠り始めて、生まれてはじめて味わう体験だっただけに、ワクワクするものさえ感じてしまう。 私はフカのようにうん十年流れることが常態で止まれば死と考えていた。流れる感覚が日常で生きることと同義なので、それを停止することは皮膚呼吸ができなくなりたちまち死を意味する。 しかし、駆け足から漫歩くらいの減速は可能かもしれず、それをこの際やってしまおうと考えている。 昨夜重い腰をあげて夕方から夜中まで没頭して122回「夜の顔不思議な俳句会」の(2020.10)投句一覧を作成、本日発送してきた。 『フルスタリョフ、車を!』のワンシーン このタイトルは、死の床にあったスターリンの側近のべリアが、脳外科医で粛清の波に呑まれかけて絶対絶命のクレンスキー将軍(スキンヘッドの人物)の所在を偶然知り、彼を解放して呼び寄せ「ある要人を診るように」と命ずるが、時すでに遅し。ソビエト政権の偉大で恐ろしい指導者を失ってしまう。その遺体搬出のあと、べリアがスターリン亡きあとのクリムリンでの権力闘争の渦中へ意を決して戻るとき公用車の運転手フルスタリョフに車を回せと発した言葉だとされる。 昨日の午前中は、ロシア映画のアレクセイ・ゲルマン監督の『フルスタリョフ、車を!』とアレクセイ・バラバーノフ監督の『ロシアン・ブラザー』にみる<社会主義という名の帝国の崩壊>を、私の数度のロシア訪問と重ねて考察して小文にまとめていた。 『ロシアン・ブラザー』の1シーン この映画の主人公のセルゲイ・ボドロフ Jr(写真) は、ソビエト崩壊後の若者たちの心をとらえて、この映画も大ヒットした。が、不幸にもそのあと映画のロケ中に雪崩に見舞われて他界してしまった。 近くて遠い国・ロシアの映画は、ハリウッド映画に慣らされてきた日本人にとっては理解しがたいものが多く、ほとんどの人がロシア映画は「寒い・暗い・重い」の感想しかもてない。しかし、この国で70余年にわたって繰り広げられてきたことは、わが身に引き寄せて克明に分析し理解する必要がある。現実と理想のはざまで生きるあらゆる種類の人たちが登場してきて、その一人一人が観るものに「さて、お前はどうかな? お前ならどうする?」としきりに問いかけてくるのがロシア映画なのだ。少なくとも90年代までの映画は…。 振り返ってみれば、この矛盾と恐怖に満ちた実験国家がよく70余年も続いたものだとしみじみ思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年11月05日 16時14分29秒
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