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2021年01月21日
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カテゴリ:きのこ目の日本史
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 三輪山の大国魂神に着目した初期王権は、この山を大和(おおやまと)のかんなび山と定め、この山の神・大物主神をまずまつった。この祭祀を司っていたのが出雲であり、物部(ものは霊、霊魂を祀る部民の意味)氏であった。
それは太陽神信仰を掌握するための第一歩でもあった。
 太陽神信仰は各地の著名な神社が太陽の道沿いに建造されていることを見ても明らかである。縄文人や弥生人は太陽が作物の生育にかかせないものであることを知っており、自然神の中でも太陽神は最強の神様であった。それにギリシャ神話のガイア・大地母神とを結びつけたものが我が国の天皇霊の完成形であると考えてほぼ間違いない。大地母神が母神であることは記憶にとどめておいてほしい。太陽神が天照大神に変貌を遂げるきっかけは、この大地の恵みをもたらす神への信仰に由来する。

 三輪山の太陽神信仰を天皇霊にすげかえて最強の王への道を整備したのは、中臣氏である。その中臣氏は、春日氏の本拠地であった太陽神信仰の重要性を知悉していたことは、この近鉄石切駅の周辺を歩くとよくわかる。
 三輪山で初期王権の意図を読み取った私は、続いて石切界隈を歩くことになった。中臣氏の氏神を祭る枚岡神社の隣の駅だ。
 古代、大阪市内はほぼ海中にあったので石切駅の西側が海岸線、すなわち、なぎさであった。ここは春日大社のある春日山から枚岡神社を経て元春日社までほぼ太陽のレイライン上にある。これを中臣氏はまず掌握したのだ。神祇を司る神官としては当然のことであった。石切駅から5分ほど下ったところに日下神社がほとんどかき消される寸前の形で残っている。
 列島各地にある日下や日置の地名は、レイライン直下の地であることから日下なのだ。ここに暦(緋を読むカヨミから転じた)博士や聖(日を知るヒジリから転じた)時空を支配する職掌が置かれたことに由来する。

 そしてさらに下った古代の海岸線近くのレイライン上の善根寺町には、元春日社がある。史学で架空の天皇とされる神武が最初に上陸しようとして、ナガスネヒコの軍勢に攻められ、トリカブト毒を塗った毒矢で傷ついた兄の五瀬命がなくなってしまう。ここで戦いに敗れたのは、太陽に真向かって戦ったからだと神武に言わしめているのはとても象徴的だ。ここの祭祀集団は、東国から中臣氏(藤原氏)が鹿に乗った神を遷座させるために駆り出されて春日大社創建の頃には神官を勤めていたが、やがて離反してこちらで古式を守ることになったという。

 その孔舎衛坂(くさえざか)の戦いの地に元春日社はある。
 元春日社の本殿。没日の方向に向いている。

 境内には巨大な磐座も置かれている。

 境内の裏側は生駒山への直登ルートにあたり、本来、社叢林となるところには巨岩が累々と横たわっている。落書きがあるのはここが子供たちの遊び場になっているからだ。ここで極寒の季節にきのこと対面できて感激したことを思い出した。

 さて善根寺町から南へ高野街道沿いに寄り道しながら30分余り歩くと、石切劔箭神社へ出る。ここはでんぼ(吹き出物)の神様になっているが、神武を追い散らかした蝦夷の頭領ナガスネヒコの妹をめとって同盟関係を結んで共存していた饒速日命(ニギハヤヒの命)を祭っている。神武東征以前の第一次大和入りした天孫族の祖で、初期王権の頃、三輪山の祭祀を司った物部氏の祖でもある。

 2011年1月30日。この日は底冷えのする一日で日が昇っても暖かくはならなかったので、石切商店街のおでん屋さんに駆け込んでカップ酒とおでんで暖をとった。本当に生き返った心地がしたのを覚えている。
 上の写真は、商店街中ほどにあった天狗堂。天狗は天皇家の伸張とともに零落神となったニギハヤヒの化身とされるので、昨年末のムックきのこ納めの会で訪ねた折に探したがおでん屋さんはあったが、天狗堂は跡形もなく消滅していた。おいしいジャガイモのおでんを頬張りながら、「10年ひと昔というから仕方ないか」としみじみ思ったことである。
 ということで、でんぼの神様の周辺は古代日本の呉越同舟(敵味方入り交りの状態を中国ではこういう)の地。枚岡神社周辺には、蘇我氏の豊浦や出雲井という地名も残っている。この呉の民や遺臣たちが列島に亡命してきて鵜飼や入れ墨の文化とともに優れた航海術を伝え、海洋国家日本を創り上げていったことも覚えておきましょうね。





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最終更新日  2021年01月21日 12時54分34秒
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