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夢みるきのこ

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2021年01月24日
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 サイエンスマガジン『ニュートン』は、『ヴォーグ』とともに私の注目する数少ない雑誌だ。さまざまな雑誌が廃刊に追い込まれる中で、なかなか健闘を続けている数少ないものだ。かっては写真撮影とトレンドの参考にした 『流行通信』や『STUDIO VOICE』などは今となっては過去のものとなってしまった。
 私にとって新聞は日々の事件の記録。週刊誌はその意味するところ。月刊誌は、その時代的な位置づけとともに、それとは別の流れである年鑑につながる時代のニュー・トレンドの源流と受け止めている。


 2021年1月25日発行のニュートンムック\850-は今日私たちが何の疑問もなく用いているゼロという数字の発見が科学に飛躍的な発展をもたらしたこと。そして、わたしたちの身のまわりのゼロ(無とか真空)のおどろくべき正体を、わかりやすい形で「数字のゼロ」「ゼロと無限」「温度のゼロ」「真空」「宇宙の無」という5つの側面から切り込んでいきます。現代物理学や量子力学世界がインド哲学や仏教の「空」理論と極めて接近していることが本書を見れば手に取るようにわかる見事な構成となっています。無をまったく何もない状態とうけとる人と、無に万有を見る人との間には雲泥の差があります。それはひとえにその人それぞれの幻想の産物だと私には思えます。
 人類の知の体系はこのように繰り返し本家帰りをしながらラセン運動を展開して頭脳の働きを更新してきたことが理解できる好著です。
 膨大な仮説の集成である進化論にしても、公理のように扱うことはとても危険であることがこのニュートンムックからも私は読み取りました。
さて本書を手にした皆様の意見もききたいものです。


 2016年1月25日発行のニュートンムック本は『驚異のバクテリア』でした。目に見える世界しか信じないことを科学的な態度としてきた人類にとって、微生物とひとくくりにされてきた菌類、細菌、ウイルスなどは,その病原体としての側面が強調され「ばい菌」と総称され遠ざけられてきました。
しかし、映像やアイコンは私たちの想像力で如何様にも曲げられます。それが真実や実体であるかどうかよりも時代の精神で規定されてしまうのです。
 本書は細菌を中心に、そんな不可視生物の総称としての微生物全体を対象としたものでとても素晴らしい内容になっています。
 私はカビ、酵母、きのこに代表される真菌類という可視生物界と不可視の微生物界を橋渡しするものとして、その両世界に生きるきのこに注目し「きのこを通して」を旗印に今日まで来ました。
そんな私からすれば、さきほどの「無とは何か」のムック本でも述べましたが、今、可視的な状態でマスコミをにぎわせている電子顕微鏡のアイコンも、数千万光年彼方の星や惑星の図像も、電子光学の世界のもので、進化論同様、それぞれの学者や政策担当者の思惑や持論を反映する図像である以上のものでしかないと思えてなりません。
 とくに今世上をにぎわせている新型コロナウイルスは、無責任のそしりは免れませんがあえて言いますと、私には、コロナ発生の当初から政治的な思惑が先行したもので、決して現況の世界恐慌を惹き起こすに至るものとは無縁のウイルスであるような気がしています。
 WHOの再三にわたる警告も、来るべきパンデミックの世紀に備えるべき防災体制のシミュレーションづくりとしてはあまりに犠牲が大きすぎる。
すくなくともこの列島に関してはたとえ死者が増える傾向にあっても従来のインフルエンザ以上の過剰反応はするべきではなかったのでは。おそらく、羅病して重症化した弱者以上に大多数の健常者を巻き込んで殺してしまうことを為政者たちはこぞって政治制度の名で推し進めていると私には思えてならないのです。
 零細業者の経済活動を封じて、保証をあいまいにしたまま違反者に罰則を課すなんていう特措法の改正は、コロナにかこつけた右傾化であり弱者無差別大量虐殺への第一歩のようにさえ思えます。
 この私の無謀ともいえる発言は、2016年5月31日発行の現代思想総特集『微生物の世界』を精読し、その巻末に総論として掲載された哲学、とりわけ医学思想史を専攻する田中祐理子さんの「臨界・生成・われわれの知」を読んで以来、ずっとわがポンコツの頭脳にずっと鳴り響いてきた言葉に触発されたものです。
「微細な生」は、「われわれの知」を確かにあらためて問わせてくれる。ただしそれは「微生物」が問わせるのではなく、「微細な生についてわれわれが知っているとしていること」が、そうさせるのである。

 雑誌ニュートンの「脅威」ならぬ『驚異のバクテリア』と同年刊行のこの『微生物の世界』は、当時すでにパンデミック世界の到来を危惧する現場の人達の微生物の脅威についての議論が沸騰していた様子が手に取るようにわかる書でした。
 人類の20世紀の科学的達成が爛熟期を迎え、その弊害が方々で噴出しはじめた21世紀、今こそもっとも必要とされるべき哲学が、それを欠如したままにどんどん加速していく世界は、暴走列車的様相を呈しはじめているように思えてなりません。





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最終更新日  2021年01月24日 21時54分11秒
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