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2021年02月11日
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カテゴリ:きのこ目の日本史

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​       良弁像(今は絶版となった絵葉書から起こしました)​
​​ きのこ目の日本史は、精神世界とかでくくられるスピリチュアル系の人たちとはいささか違う視点からせまくなった地球の中でももっとも辺境に位置する島国・日本という国の特殊と普遍を探るもので、それは固定を嫌うゆえに旅の形をとってきました。
 縄文期の原初の自然神崇拝(アニミズム)をベースに弥生時代に入り、穀霊信仰と祖霊信仰が生まれ、それを首長霊信仰にすげかえて神威を高めた初期王権がヤマトに誕生したと考えます。
 道教的要素の色濃い仏教がまず民間レベルで導入され呪術や医術を駆使するシャーマン的要素の強い巫(みかんなぎ)がまつりごとにたずさわっていた時期が続き(卑弥呼的、あるいは法蓮に代表される奇巫的モデル)、仏教が壮大なコスモロジーを有することから、それを政治に活用しようとする動きが出て来て神仏習合がはじまります。仏教の国教化の動きです。
 我が国の宗教文化の黎明期はこのように1万年以上もかけてまず神道としてととのえられ、それに仏教が導入され、国家形成の正当化と理論武装がはじめて可能になったのです。
 その始まりから私には渡来人の関与があると考え、そのもっとも大きな役割を果たした氏族が秦氏であったと考えています。
 中臣氏とそれから派生してきた藤原氏は、強烈な上昇志向をもった氏族で、縄文以来のすべての精神的な遺産を統合して国家建設へと向かったのに対して、秦氏たちは下降意識をたぎらせ、民衆に利する目的でその精神的遺産を継承する人物を世に送り続けていきます。
​        近鉄奈良駅頭の待ち合わせ場所にある行基像​
 歴史時代に入って最初の秦氏たちが送りだした人物が東大寺大仏造立にただならぬ関与を果たした良弁であり行基であったと考えています。両名が影響を受けた道昭や十一面観音を奉じた白山の泰澄も同じ仲間です。
 私は松岡正剛の『空海の夢』から、平安のスーパースター空海に魅せられ、古代史に分け入っていきました。そしてそこに秦氏という目には見えないが偏在する影をみとめて、秦氏という正史にはほとんど姿を見せない存在に魅かれていきました。その秦氏が関与して我が国の宗教文化は磨きあげられていったと今では確信しています。 
  
​         法然像                蕪村像​
  その秦氏の関与が伺われる最後の人物が法然です。
 さらに室町期では、その始祖が秦氏であると公言した夢幻能の大成者・世阿弥。
 下って、そんな法然の浄土宗教団に支えられて民衆詩の世界で画期的な痕跡を残し、時代の枠を超えた人物こそが蕪村だと考えて、この30年余りきのことともにその足跡を辿りつづけてきました。
 私に残された時間はわずかですが、その残された時間のすべてを、秦氏たちのこの島国に託した夢の跡を追うことに賭けたいと思っています。
 氏族とはいっても秦氏の集団は、賎民に準ずる品部(しなべ)に属した今でいうところの商店主や芸能人、町工場の社長などの雑多な職能集団の総称です。このことも重要です。私がきのこの文化として総合化を夢みて企画実現してきたきのこのアート展は、すべて庶民の善意(善知識)によるもので、行政や資産家のパトロネージュによるものではありませんでした。
 しかし、この月のしずくに等しい民衆の秦の集団こそが良弁はじめ法然へと流れ、江戸期の蕪村などへと受け継がれていったわが国の特殊で普遍的な寛容の文化の総合プロデューサーであったと私は考えています。
 それらはきのこにたとえると、歴史上の人物はきのこそのもの。それらを支えてきた目には見えないが膨大なマスの糸状体である菌糸こそが秦氏であると考えてはじめて見えてきた世界なのです。
私のみつめてきたわが国の宗教文化とはそんなもので、それは既存の教団宗教やスピリチュアル愛好家のみなさまとは無縁なものであることは言うまでもありません。いわば日本人の無意識な精神構造をつくりあげてきたものの総称です。
 本流には決してならぬ(いかなる権威や権力もまとわぬ)​​
ことで貫く、生きることの真実の流れは、おそらくそんな暗流にこそあるのだということをいささかでも示し得たら私の本望とするところです。

 そして、上昇志向でも下降志向でもなく、ひたすらよどむことなく流れ続ける(ちょっと背伸び)ことに全力を傾けるものだけが、人間(人と人の間に交わっておだやかに生きる)と呼ばれるに価いするものだと思っています。






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最終更新日  2021年02月11日 11時40分52秒
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