さて、三輪山登拝で、うま酒三輪の山の神と膝つきあわせてラムとウイスキーで祝杯を交わした我々は、三輪族の中興の始祖・オオタタネコの若宮神社に詣で、「意宇か多か知らないけれど、おお様お元気 ?」とご機嫌伺いしたあと、三輪の大鳥居すぐ近くにある南酒本舗をのぞいた。ここには、やまのかみ酵母でかもした期間限定のお酒があると聞いていたからである。
「やまのかみ酵母」とは、平成24年三輪山麓に自生するササユリの花から分離に成功した酵母を用いてかもした原酒だという。輸入自由化にともなうアルコール飲料の多様化で低迷する日本酒づくりにと、平成に入った頃天然酵母の採取と分離がさかんに行われ、酒造りに適した花の酵母で造られたお酒も多数登場した。しかし、当地のお手柄は、奈良町の率川神社のさきくさ祭や大神神社・狭井神社の例祭の花鎮め祭に巫女たちが捧げ持って舞う笹百合の花に由来する神事とのコラボでこの酵母を採用したことだろう。あでやかな巫女さんたちの舞姿も重なってお神酒とくればありがたみが増すではないか。
もちろん、おいしくなければアイデア倒れに終わってしまうが、今回買い上げたこの「やまのかみ酵母」の原酒は、やや酸味がたった、女性向けのなかなかの口当たりであった。
もちろん、まだ純米原酒のほうは試していないのと、原酒はいずれにせよ口当たりが良いので、本醸造酒と飲み比べたうえで比較検討しなければなんともいえないが、これを酌み交わしながら三輪の神様の話で盛り上がれば、お酒の役割は十分果たせたことになるので深く追求しない。
西内酒造製造、南酒本舗発売元の珍しい酒であるので、大神神社界隈をさすらうときにはまた前もって連絡してゲットしよう。