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夢みるきのこ

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2021年09月04日
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 ジャズを本格的に聞き始めた高校1年生の頃、コレクションをはじめて数枚目かに買い求めたLPがこれだった。針を下ろすなりマックス・ローチの怒りをぶつけたようなドラミングに震撼させられた。ブラックの公民権運動の只中にあった彼の演奏はクリフォードブラウンのコンボで聴いていたLPとは全く異なるパワーを帯びてストレートに心に響いた。
 しかし、16人編成の黒人コーラスとオーケストラを網羅した異色のアルバムのB面最後に1曲だけ挿入されたゴスペルタッチの「ロンサム・ラヴァ―」で歌ったアビー・リンカーンの声にはもっと震撼させられた。
当時はゴスペルなんて言葉はこのLPがリリースされた1962年頃の神戸では知られていなかったので、こんな魂をゆすぶられる唱法があるんだとびっくりしたものだった。
  とりわけ僕がしばしば聴き入った曲は「Sunday Afternoon」だ。ハーレムあたりののどかな日曜日の午後、みんなが教会からちらほら帰ってくる頃の町の印象をそのままのびやかなトランペットの音に乗せたサウンドはたまらない魅力を湛えていた。
 映画『Summer of Soul』でマックス・ローチが登場したのには驚かされたが、彼は公民権運動の最前線にいたので招かれたのだろう。また父の思い出を語る形で父とそっくりな息子が登場していたのもうれしかった。


 ローチは、2ビート、4ビートジャズが一般的だったジャズ界に3/4拍子のジャズドラム奏法を確立したのみならず、モダンドラム奏法そのものを確立した名ドラマーでそんな意味でも注目していた。
 
3ビートで演奏したものでは、クリフォード・ブラウンとともに映画『慕情』のテーマを演奏したものが残っている。
      
 ジャズを洪水のように聴きふけった後々までも、この『It's Time』は私の記憶に深く刻まれて機会あるごとに取り出して聴いてきた。
 マックス・ローチは、このLPの出た1962年にアビー・リンカーンと出会い結婚したが、おそらく彼が頼み込んでヴォーカルで登場してもらったのだろう。
 以来、女優としても活躍しているが1970年に離婚。その後アビー・リンカーンは10年ほど沈黙していたので、1969年の映画『Summer of Soul』の中でみかけた2人は、そんな破局の1年前の姿であったのだとあらためて思った次第である。
 『パーカッション・ビター・スイート』のほうは、少々針傷のノイズが入ってしまったので余り聴くことはなくなってしまったが、フローラ・プリムが入っていたように記憶する。これも並々ならぬ意欲作でマックス・ローチは終生努力の人であったようだ。





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最終更新日  2021年09月04日 19時33分27秒
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