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カテゴリ:ヘテロソフィア・アート
近江今津に程近い新旭水鳥観察センターで桝井亮さんの写真展が開かれているのでJ-FAS日本キノコ協会にゆかりの深い湖西地方を訪ねがてらのぞいてきた。この旅のもうひとつの目的は、J-FAS日本キノコ協会設立準備委員会時代に画王会長(奥澤康正さん)に勧められて一緒に会いに行った股野広司さんと30年数年ぶりの再会を果たすことであった。 この写真展は、きのこという微生物の本意を自然界からするどく切り取ってきた桝井亮さんの来し方行く末を明示する内容であることはただちに理解できたので遠隔地ではあってもぜひ見届けておくべきと楽しみにしていた。私にとっては馴染み深い図像ばかりだが、きのこというアイコン(図像)は、自然界の虚実のあわいに生じる目には見えない世界に属する微生物の活動指標であり、それを的確に写し取る写真家は稀である。そんな写真家の1人がこの桝井亮さんで、篤志家の寄贈という水鳥のはく製が見守る中に並べられた写真群はそれぞれふさわしい場所におさめられたような不思議な安堵感に満ちていた。 作家にとって作品展とは、連綿と続く作家生活に節目をつくりステージ転換を図る作業である。桝井亮さんの今日ただ今からのカメラアイの深化を十分に期待できる写真展であったことは言うまでもない。 さて、この水鳥観察センターのグラウンド階は股野さんのセイリングボートの制作工房になっており、ここで少し角がとれたほかは30数年前と寸分変わりない不思議な情熱の塊のような股野氏と1時間以上にわたり対話を深めてきた。30年前の彼は国際的なガラス工芸の雑誌の編集を手掛けており、それは今も形を変えながら脈々と続いており、このセイリングボートやカヤックの制作を始めたのもガラス工芸作家たちとそこはかとなくつながっているらしいことが理解できた。 来春には以下の著者であるダグラス・ブルックさんがやって来てここでワークショップを開催するという。 近江は、私のライフワークにとって格別な意味をもった土地柄である。またその節には懐かしの近江今津を巡ることも兼ねて再訪したい。 この水鳥観察センターは半月型の入江を成し、水鳥の羽根を休める格好の潟に面しており、カヤックにも水鳥にも最適な場所である。 石川悠館長も寡黙な青年だが、生き物好きに共通のオーラが感じられ、近江今津にまた私どもの拠点ができたことを心底うれしく思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年12月03日 09時50分57秒
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