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夢みるきのこ

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2022年05月03日
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 この神社の存続の重要性を自覚し、代替わりデビューとなった宮司ご子息の権禰宜の若々しい祝詞奏上でなごんだ慰霊祭。青嵐の中、拝殿にて斎行。

 父がはじめた大戦殉難北方異民族慰霊祭に参集した人たちがすべて戦後生まれの者たちに入れ替わり、異民族の<異>というものを常に念頭に置き、心の境界を自ら取り払っていこうという祈りの場となってはや10数年が経った。
 島国で育った私たちはとりわけ<異>に対して敏感で、心の壁は高く厚く堅固である。わかりあえない他者の典型としての<異>と向き合うことなしに真の平和は達成しえない。まずは自らの内なる<異>に対して敏感となること。これこそが異民族慰霊という世界に類をみない慰霊祭に青嵐を突いて参集し祈りを捧げる人たちの共通の思いであろう。
 こんな<異>を認め合い、<異>と語り合うささやかな集いが方々で開かれるようになると、この国のかじ取りは間違いのない方向へと進むだろう。
『月のしずく』はそのためにこそ生まれた。それは、生物界の<異>である<きのこ>に出会ったときに私の中に胚胎されたものだ。

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 この真心の集いを次の世代にどうバトンタッチするかが今問われている。
しかし、それはかってドリス・ディが歌って大流行した「ケセラ・セラ(なるようになる)」であり、それは人が決めること。
 私たちそれぞれがなすべきことは、今日ただ今の目の前の課題を粛々とこなしていくこと以外にない。ウクライナ情勢が緊迫化するこの日参集した人たちは、この点でも間違いなく一致している人たちばかりである。
 「一日の苦労は一日にて足れり」「このゆえに明日のことを思い患うことなかれ 明日は明日また自ら思い患わん…」
 小学生の頃、「山上の垂訓」として親父が私に教えてくれた聖書の一節である。


 ​昼時ではあったが、コロナ禍の直会(なおらい)に替えて小一時間のつもりで持った語らいの場では、夫々が熱のこもった所信表明があり、煎茶と茶菓子だけで2時間近く続いた。それぞれの言葉を噛みしめ傾聴しながら、このひとときのためにもいのちの限りつづけようと思いを新たにしたことである。​






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最終更新日  2022年05月03日 09時38分24秒
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