|
カテゴリ:ヘテロソフィア・アート
井原鉄道は岡山の総社から真備町を経て広島の神辺を結ぶ一両編成の田園列車だ。
西日本豪雨災害とコロナ禍で乗客が減少したこの鉄道は大原美術館と提携してアート列車を企画。 資金をクラウドファンディングで公募をかけたところ、予想を上回る資金が集まり、太田三郎が監修し車両の内外を大原美術館所蔵の54点(以下はそのうちの1点)の名画でラッピングされた。現在も運行中だ。 かくして、災害によりそう人たちとアートのありようの一つの可能性を示した。 さて、今回の作品の多くは切手の形をとっている。不特定な受け手を想定して風まかせに届ける便りの形式をとっているのが特徴である。 郵政民営化のあと、効率至上主義の大波にあおられ大本の郵政事業も壊滅の危機に瀕しているが、玉章(たまずさ)の便りに対する郷愁のようなものも伝わってくる。 最初のページに掲載した新型コロナで死亡した人たちを悼む「献花」もまた菊の花の切手で増え続ける死者の数を表し、この作品は増え続けるコロナ禍の死者がつきるまで日々増え続けるという。 かってのきのこの時代、私も世界のきのこ切手を集めて度々個展を開いた。そのころ<混ぜればゴミ 分別すれば資源>と、環境局のゴミ回収車に書かれたキャッチ―なフレーズをよく口にしたものである。 その作業は、私にとってはきのこのアートへ目を開かせるきっかけとなり「月のしずく」の<きのこのイコノロジー(=図像解釈学)>シリーズの太い柱を形成している。 太田もまた、<集めればアート>を主張する作家であるようでほほえましく思えた。集めたものをどう編集するかが作家の個性である。 アートはなにも高踏な行為ではなく常に身辺に転がっているものを集めることからはじまるのだ。この個展ではそんな思いを強く感じた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年09月14日 11時39分30秒
コメント(0) | コメントを書く
[ヘテロソフィア・アート] カテゴリの最新記事
|