夢みるきのこ
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詩人の橋本例子さんがきのこに興味を持たれ、不惑の頃からおつきあいが始まったのですが、そのご主人は当時気鋭の建築家で、たまたま高校時代の2学年先輩であることが判明して家族ぐるみでお付き合いがはじまりました。その健治さんが近年アルミサッシをキャンバスにした龍の絵画作品にこだわり続け、その集大成ともいうべき個展をギャラリー北野坂で開催されました。 70の手習いとして始めたという尺八もプロ級の腕で氏の個展ではいつも披露してくださるのでこちらもひそかな楽しみとして神戸のギャラリーを訪ねてきました。 龍による太極図の展開図と思しきインスタレーション作品 全体 龍は中国・殷の時代から青銅器などにきのこ形として表現されてきた自然の猛威そのものの形象で、竜巻や渦巻、すなわちらせんという森羅万象の根源の力を象徴する図像です。 今回のメインの作品はその太極から陰陽二元に分かれ昇竜の形できのこ形となるまでの一部始終をインスタレーション作品として明示してくれていました。この地上ではあらゆる現象は重力にあらがうため、きのこ形、すなわち渦巻らせんの形をとります。それを古代人は龍蛇と考え自然の猛威そのものとしてきたのです。 私はそれをきのこの本質と受け止め「月のしずく」できのこのイコノロジーとして提示してきました。図らずもわが先輩は、水神と陰陽五行から全く別の道を辿りきのこのらせんへと至ったようです。 陰陽のダイナミクスそのものが龍体でその過程をこの万華鏡のような作品に展開しています。 龍がその姿を具現化する瞬間の相がこの三角形の壁面に、そして陰陽図の結束点が球体で表現されています。 水をまき上げ龍体となって天へ上る瞬間の図像にはミズクラゲや魚が描かれた海として描かれています。 今ひとつは、平面的に描かれた本企画展のサブとなるインスタ作品。 こちらはかってガラス工芸の花形産業であった漁撈に用いる浮き球を北海道は小樽のただ一つ残ったいる工房から取り寄せた球体を用いた作品。この描かれた飛龍が実像と虚像の二つながらを併せ持った作品構成であることが明示されています。 これはサッシのキャンバスならではの作品で、彼がこのサッシに描くことを思いついた時からの執念が形になった瞬間に生まれた発想でもありましょう。
「月のしずく」の茶屋町画伯は、80歳から毎年日本画によるアブストラクト作品を正月松の内に立花駅近くのスペース○○で開いてきて3年、80+3馬力展を開催しますが、それに倣えばこちらも77龍力展とでもいうべき力のこもった個展でうれしく拝受。 これらの作品群は微妙な光と影を計算しつくして捉えなければならず、ポケットデジカメの映像では到底その迫力はお伝えてせきないのが実に残念。 こちらは篠山の街並みアートで見た龍をテーマにして描きはじめた書紀の作品。 虎は死して皮を残すが、人は生きて未練しか残すことはできません。アートとはそのそれぞれの<生きる未練の形>でしかありませんが、この<生きる未練>を形にすることこそが、生きとし生けるものの残された者たちへのせめてもの贈る言葉でありましょう。 なんとか庶民の私たちは庶民の哀歓をそのまま表現にまでこぎつけたいものです。そのために私たちは馬齢を重ねてきたと言っても決して過言ではありません。その意味で私の身近な先輩がこうして命を削いで取り組んでいる姿には励まされます。 今すこし命の続く限りお互いの信じる手段で未練を形にしていきましょう。 例子さんは雲南の民俗楽器フールース―の奏者でもあり、オクターブを息の強弱で調節せねばならないこの難しい楽器を見事に演奏して聴かせてくれました。
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