きのこ目の日本史も、奈良時代のことがまもなく一段落しそうなので、いよいよ法然にかかりたいと思っている。今はつとめて白紙の状態にとどめるよう努力しているが、スイッチが入ってしまったようで、昨晩よりは、これまで読み散らかしてきた端々のことが襲ってくるのを払いのけながらの刻々で久しぶりに眠られなかった。法然さんの旅で印象深い思い出は、何と言っても雪の比叡山に登り、横川黒谷別所の青龍寺を迷いまよいながら訪ねた時の事。
また、最近出た岩田文昭の『浄土思想』中公新書には感動した。これと松岡正剛の『法然の編集力』、それと私がやろうとしている秦氏関連では山田繁夫のすぐれた著書『法然と秦氏』がすでにあり、これ以上付け加えるものはなさそうであるが、来春からはちょっと格闘してみたい。
浄土宗の総本山の知恩院に救われた人物の中で私がとりわけ関心をもっている人物は、江戸期の蕪村と太田垣蓮月だが、良弁、法然、一遍、空也、空海、最澄への旅だけでも寿命との競争になるが、付録になるが蕪村・太田垣蓮月まではなんとしても辿り終えたい。かれらこそ秦氏というものの存在を理念的に結晶化し、体現したひとたちであるからだ。
当面は、法然房源空の紋所<月影杏葉紋>を胸にいろいろ雑念を思い巡らせながらたのしみたい。