同じ樹だがどこから撮っても溢れる赤い実。
冬の最中に真っ赤な身をたわわにつけるのは低中木ならピラカンサス、中高木となれぱクロガネモチと相場は決まっている。若い枝や葉柄が黒ずんでいることからの命名だそうだ。
ためしに試食してみたが、ほんのり甘いのは口に含んだ瞬間だけ。苦くて青臭く沢山は食べられない。しかしこれが極上の味と思う者がきっとどこかにいるに違いない。繁殖のためには、実というものは食べられてなんぼの世界だから。陀羅尼介にも通じる苦さなので、腹の調子の悪い鳥たちがときたまついばむのかも知れない。あまりに見事な実の付け方につい余計なことを考えさせられる。
ついひと月前に低木のそれを見たときはまさか同じ木だとは思えなかった。実も出始めは黄色いから余計にわからない。しかし冬中楽しめる木の実も稀なので貴重という他ないか。