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『研究したい課題を書いてください。』と明示されている論文用紙がわたされた。一瞬わたしは戸惑った。
はてさてこれをどのように料理しようか?まずどのように第一筆をいれようか入れてしまえば後はどうなれ 知るものか筆の進むに任せてしまえでは良いではないか。瞼を閉じてみた。 教官の靴音がカツカツと試験教室にこだまする。まだ指が動き出さない。ええい焦れてくるではないか。 その時天井の蛍光灯が瞬いた。『千夜一夜物語』を書いてみよう。と思った刹那、私の生きてる世界が 暗転した。薄暗い空に満天の星星、燃えるように煌めいている夜空に落ちてしまいそうな錯覚をおぼえ 胴震いがおきるほど恐怖に襲われる。 「じっちゃんまた今夜も話ばしてくんろ」右となりで小さな黒い影がボトリと呟いた。 すると今度は左となりの小さな影が「んだ、じっちゃんしてくんろ」と呟く。 私は「じゃあ昨日の続きの千夜一夜でもしてみようか」と黒い二つの影に答えていた。 「今は遠いとおい昔の事になってしまったがな・・・」掠れた声が喉から飛び出し、話言葉は闇に消えていく。 目の前のたき火の炎が幽かに揺らめく。全ては闇に溶けていく。 「世界には七つの太陽があったそうな・・・七つ、世の中はさぞや暑かっただろうな~七つじゃもの な~そこでたいそう難儀した人々はおおさまにお願いしたそうじゃ『どうかなんとかしてください こう太陽が多くちゃ大地は干上がり穀物一つも獲れません』そこでおおさまは人々に答えて曰く『よし、 それでは六つの太陽をこの弓矢で撃ち落としてやろう』と言って矢をつがえてひとつひとつ撃ち落として いったそうな、そして残ったのが・・・・・・」 「じっちゃんその話は三日まえにも言っていたじゃないか」 「いやいや あれは唐国のはなしじゃったのじゃ今夜のはなしはインカの」 続きはまた お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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