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テーマ:ミステリはお好き?(1477)
カテゴリ:ミステリ
甲賀三郎の『恐ろしい凝視』を読みました。復刻版で、ある古書店にて1000円で購入しました。甲賀三郎というと本格(謎解き、論理)ミステリというイメージが強いですが、本作品ではその枠には収まりきらない作品も多く取り上げられていました。
収録作品は 「従弟の死」「大下君の武勇伝」「急行十三時間」「記憶術」「恐ろしき凝視」「錬金術」「嵐と砂金の因果律」「魔の池事件」「戀を拾つた話」「青春への嫉妬」「見えざる敵」「黒衣を纏ふ人」です。 私にとって特に面白かったものを紹介します。 「急行十三時間」・・・けちな父からお金を出させるために、狂言脅迫事件を演じるものの、そこに本当の事件が交わって・・・?主人公たちは列車でお金を運ぶが、怪しい客が乗り合わせて・・。怪しい客が何人かいるので、誰が犯人かという「フーダニット」の楽しみもある。 「錬金術」・・・・小さな禁を生み出すというデモンストレーションは真実なのか、という問題と、高利貸し殺人事件のかかわりは?題名から最後のオチと主人公の職業まで、上手く計算されつくした作品。 「嵐と砂金の因果律」・・・嵐の岬の家に二人の男が来て、それぞれが昔の話を物語る。その二人の関係は・・・?雨の夜一人で読むにはちょっと怖いかも。 「戀を拾つた話」・・・・主人公はある屋で「瀕死の人」から、他人に成りすましてくれとの依頼を受ける。その目的は?ハッピーエンドかバッドエンドか? 自分にとっていまいちだったのは、「大下君の武勇伝」「記憶術」。どちらもユーモラスな作品なのですが、ほかに比べて見所やストーリーの錯綜感にかける。 全体的に、いくつかの別の事件が絡まりあっている作品が多く、手がかりに基づいて推理するというよりは作者のストーリーを楽しむとよい。楽しく読める作品集です。 【送料無料】恐ろしき凝視復刻版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.02.05 22:20:25
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