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テーマ:ミステリはお好き?(1496)
カテゴリ:ミステリ
ハヤカワ・ミステリ文庫の『隅の老人』を読みました。一般に、「ホームズのライヴァルたち」と呼ばれる系譜に分類されます。
この作品は、女性新聞記者のポリーさんが、コーヒーショップで「隅の老人」から事件の話を聞くという形で話が進んでいきます。その、隅の老人とは奇妙な人物で、少し傲慢っぽく、いつも奇術師よろしく奇妙な結び目を作っている老人です。彼は、時に裁判を傍聴し、事件の情報を仕入れています。 彼が話す事件は、どれも奇妙な謎に満ちた事件ばかりです。裁判では、一見すると解決したように見えますが、弁護士の主張や新たな証拠によって、その事件が覆るのが常です。そうして迷宮入りするかに思えた事件を、隅の老人が推理によって解きほぐす。というのがおおよそ各話の共通する骨組みです。 隅の老人が虫眼鏡などを使って証拠あつめをするという話ではないので、ぐうの音も出ないほど物的証拠で証明する、というタイプではありません。むしろ、読者もポリー記者とともに、老人の話す真相に驚くといったタイプの作品です。 すごくトリッキー、というものではありませんが、意外な真相が驚かしてくれることは確かです。たとえば、カーショーという男が、スメザーストという人に恐喝らしき手紙を送った事件があります。その事件では、カーショーが殺されたらしく、カーショーと会ったスメザーストに容疑がかかります。あった時に、恐喝を逃れるために殺したと考えられます。これで一件落着かと思いきや、カーショーとスメザーストの面会後にカーショーがまだ元気に生きていたという目撃証言が登場し、事態は一転して謎に・・・。という始まりです。明らかな第一容疑者が、どうもそうでないような雲行きに。隅の老人はどういう答えを出すのか??? こういった謎の事件が短編で、いくつも収録されています。がちがちの謎解きではありませんが、意外な語りに驚きたい人に勧めます。 【中古】 隅の老人 ハヤカワ・ミステリ文庫/バロネス・オルツィ(著者),山田辰夫(著者) 【中古】afb お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2020.07.13 21:10:16
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