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エ-ジェントのRYUから連絡が入った時、私は丁度シャワ-を浴びているところだった。「例のカフェを調査に行くので、20分後にいつもの所で」それだけ告げると電話は切れた。鏡の向こうの男はいつものようにこちらを見ている。 うつろな何かを訴える様な目、こけた頬には無精髭が生えている。ふいに数日前の事を思い出した。その日、私はエ-ジェントのYANAKKUと飲んだ帰りで久々にしたたかに酔っていた。道に迷い、あれは11番街あたりだったか、路地裏で初老の男がウクレレを弾いていた。曲は確かT.シ-ルマンスの「OLD FRIEND」。ポケットを探ると古いクルゼ-ドのニッケルが一枚出てきたので、空き缶に入れてやった。「音の本質とは何だと思うかね?」コインが落ちる放物線を見つめていた老人は口を開いた。「一つヒントをやろう。あらゆる音は、原初的な記憶と結びつく物質的現象を保存している。この意味がわかるかね?」
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最終更新日
2004年04月24日 00時16分40秒
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