ルンルンさんは青いきれいなさかな。そして東南アジア原産の闘魚（とうぎょ）。同じ水槽にオスを二尾入れると死ぬまで戦ってしまう。メスを入れても交尾のあとボロボロになるまでいじめてしまう。だからずっと１人ぼっち。たまにさみしくなると、本当はメスが卵を産むためのアブクを口からいっぱい出して水面にならべていく。そしてぼおっと浮かんでどこかを見ている。きっとそのひとつひとつのアブクに自分が生まれた熱帯のジャングルや水草や新鮮なわき水やいろんなさかなたちの姿が映っているのかもしれない。
　そんなことを考えていると、ルンルンさんを故郷の川に連れてって放してあげたいなと、ふと思ってしまう僕なのでした。