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ひみつの裏庭

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Sep 21, 2006
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カテゴリ:未来の石板2


色のない世界。
寒いのに、何故か妙な暑苦しさ。

不規則に拍動する脈のような響き。
その間を縫うように、どこからか声がする…

(りずむ、私を置いて行かないで)
(置いて行ったのはあなたでしょう…)
(ほら、サンドイッチ。
パルフェの好きな…たまごサンド)
(りずむ、もう会えないわ)
(さようなら)
(え!?)

(りずむ、りずむ…)
「マジョリズム!!」


「ふぁい!!?」がばっと飛び起きるりずむ。

「“ふぁい”じゃないわよ!!」りずむの頭の所にいたチュチュが眉を逆立てています。
「あ、…あれ?MAHO堂?」
「何またねぼけてんのよ」
「私はまだ寝てません…」
そう言いつつりずむは周りを見回しました。

そこは作業場二階のロフト。

(…捜し物の途中で居眠りしちゃったのね)
「ほんと心配かけないでよね…。
 荷物探しに行ったまま戻ってこないんだから」
「ごめんね、また寝ちゃった」
りずむはメガネを直しながら謝りました。
「…しょ…っと」

「りずむさ、うなされてたけど…」
チュチュがそう言いかけたその時、階下からこえだの声が。

「ありがとうございましたー!!」

下を覗き込むと、制服姿のこえだが
店を後にするお客にお辞儀をしています。
「ん?」
ふと時計に目をやると午後五時。
MAHO堂閉店の時間です。
「あら、もうこんな時間」

「まあいいわ」チュチュはため息まじりに一人呟き、
それからりずむの肩に座りました。
「…でも、お客さんこんなに多かったのは久しぶりね」

午後は午前中ほどではありませんでしたが、まあまあの入り。

りずむは乱れた髪を整えながらそれに答えました。
「そうね、去年の暮れ以来じゃない?」
「そうなるのかな?」と、遠くを見つめるチュチュ。

「んじゃ、今日のお仕事はおしまいね」
そういうとりずむは指を弾きました。
すると、店の表の木に懸けてある「OPEN」の看板が、
「CLOSE」の方に裏返りました。

「さて…」

りずむは店の後片付けに入っているみゅうたちに声をかけました。
「みんな、片づけ終わったら作業場に集合ー」

「はぁい」
ロフトの方を見て、口々に返事をする五人。

「なんだろね」ふぁみはこえだに尋ねました。
「さあ?」首を振るこえだ。
「っていうか、アレだろ、アレ」みなみはギターを弾く振りをして見せました。
「あれ…?」しかし気付かないふぁみ。





しばらくして、五人は作業場に集まりました。

「ん、今日は忙しかったわね、お疲れさまでした」
「ってかりずむさん途中からいなくなったけど…」
ふぁみはそう言いつつりずむを見ました。
「え?」その視線にぎくっとするりずむ。
「いつも通りよ」あっけなくチュチュがばらしました。
「やっぱり」白い目でりずむを見る五人。

「あ…
 …あ!!
 でね、集まってもらったのはね…」
あわてたりずむの頭の中は真っ白に。

「んー…」
少し整理しています。

五秒ほどして、口を開きました。
「えっと、楽器の練習、始めましょうか」
「ん」みなみは笑顔で指を弾きました。
「やった!」飛びあがって喜ぶふぁみ。
「早く上手になんなきゃ!」
しかしみゅうは心配そうに呟きました。
「でも、あんまり大きな音出せませんよね」
りずむは「うふふ」と笑うと
「大丈夫、ついてきて」
そういうと作業場奥のドアの方へ歩いていきました。
ドアを開けると、小川に架かる渡り廊下。
「こっちよ」宿舎棟の勝手口の扉を開けました。
ゆっくりと部屋か廊下か分からない空間を進んでいく六人。

りずむは、自分とクレアの部屋へ通じる螺旋階段の向かいにある
扉の前へ歩いていきました。

そして指を弾きました。

現れたのは透明な水晶でできた鍵。
「なに?」クレアはその鍵を見つめています。
「鍵、だね」とふぁみはクレアの疑問に答えました。
「それは見ればわかるよ」

うふ、と微笑むと、りずむはその鍵を差し込みました。
ぎぃっという音を立て、開く扉。
「ついてきて」
扉を開けると、ちょうど中庭の池に浮いている小島の上に出てきました。
そこの中央には小さな祠のような、洞窟のようなものがあります。
りずむは「ここが魔女界への扉です」と指し示しました。
「今は私が封印をかけて閉じています」
そしてその祠のわきを抜けると、そこにはちょうど五~六人が飛びはねられるくらいの
空き地に出てきました。
「この浮き島が練習場所よ」
りずむは再び指し示しました。
「この浮き島ってこうやってくるんだ…」ふぁみはなんだか感慨深そうに店舗の中庭、
客席になる部分を眺めています。「前から気になってたんだけどさ」
「向こうからは来れないんですわね」こえだはそのへんを歩きまわりながら呟きました。
「ええ」そう言いながらりずむは指を弾きました。
どこからか現れたのは水晶玉。りずむはそれを掲げ、呟きました。
「魔法のステージよ…甦れ」
ピンク色にてらてらと輝くシャボン玉みたいな球体が、浮き島全体を包みました。
「…ふう、準備完了」
そういうとりずむは、水晶玉を指の先からどこかにしまいこみ、五人の方を振り返りました。
「じゃあ、楽器出してみて」
「はい」
五人は各々呪文を唱え、楽器を出しました。





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Last updated  Sep 21, 2006 09:07:00 PM
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