テーマ:政治について(20091)
カテゴリ:政治
京都精華大の白井聡がユーミンを罵倒した件で、
松任谷由実の「政治性」に注目が集まっています。 もともとユーミンは「コンサバ」を標榜していました。 この「コンサバ」という言葉は、 松任谷由実の政治的な保守性を、 表向きはファッション用語のように装ったものです。 政治的な意味での「コンサバ」が何を意味していたか。 それをひとことで言い当てるのは難しいのですが、 おそらく、いちばん近いのは「反共」だと思います。 それは、 ユーミンが「台湾ルーツ」であることと、 松任谷家が「頭山満」に連なることに無関係ではありません。 ちなみに頭山満は、かつて蒋介石にもっとも近かった日本人です。 ◇ 一般に、 頭山満は戦前のアジア主義者だとされています。 戦前のアジア主義者というのは、 つい「反欧・反米」的な人たちだと思われがちですが、 実際のところは、そうではなくて、 むしろ日英同盟のもとに対ロシア戦線を張った人たちです。 そして、その立場は、 そのまま戦後の「反共」戦線に移行していくのです。 ◇ ユーミンの「スラバヤ通りの妹へ」という曲は、 当時の日本から見て後進国だったインドネシアを、 みずからの「妹」として表象した作品です。 ここには、ユーミンの、 アジアに対する「共感」と「蔑視」がないまぜになっています。 かりにユーミンの「コンサバ」の中に、 ある種のアジア主義があるとしても、 その実態は「反中国」「親台湾」であり、 ひいては「親米」であり、けっして親アジアではありません。 そこから安倍晋三に対する政治的な共感も生まれています。 ◇ わたしが思うに、 宮崎駿とユーミンが接近するのも、 この反共的な「コンサバ」の感覚においてだという気がします。 もちろん、宮崎駿の場合は、 不用意に「親安倍」のような立場をとらなかったし、 むしろ、必要に応じて批判的なことも言っていました。 松任谷正隆も、不用意に政治的なことは言わない人です。 しかし、 ユーミン自身は、 やや思慮が浅いぶんだけ、 ときおり不用意に政治的な姿勢をほのめかすのですね。 それは、 おそらく周囲の人々の意見の受け売りなのでしょうが、 逆にいうと、 彼女を取り巻く文化というのは、 もともと、ある種の政治性を帯びているのです。 ちなみに、かつてグレン・グールドは、 「モーツァルトはもっと早く夭折すべきだった」と言ったのですが、 白井聡の発言がその引用だったとしたら、 いくらなんでもユーミンを買いかぶりすぎでしょう。 彼女は、モーツァルトほどの天才ではありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020.09.09 03:30:56
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