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たぶんコロナの影響だと思うけど、
今季は橋部敦子のドラマが2作放送されてるので、 ついつい見比べています。 テレ朝の「モコミ」のほうは、 いわゆる《僕シリーズ》の女性版って感じで、 正直、今までの焼き直しという印象もあります。 一方、 フジの「知ってるワイフ」のほうは、 韓国ドラマのリメイクということもあり、 従来の橋部作品とはだいぶ趣きがちがうし、 物語のダイナミズムがかなり激しい。 ◇ しかし、 2つのドラマには共通性もあって、 どちらも主婦に対して厳しいのですよね。 「モコミ」でいえば母親役の富田靖子。 「ワイフ」でいえばモンスター化した広瀬アリスや瀧本美織。 彼女たちは、つねに夫や家族に苛立っていて、 自分の価値観を周囲に押しつけては責め立てます。 彼女たちは、 ほんとうは被害者でもあるんだけど、 それにもまして加害者としての面があぶり出されている。 おそらく、 女性の視聴者の多くは、 つい主婦の側に同調してしまうので、 夫や家族のほうに「非」を見ようとするけど、 橋部敦子は、そのような一方的な見方を許さないのです。 ◇ 橋部敦子の脚本は、 主婦だけでなく、どの登場人物に対しても厳しいですね。 一方を悪者にする描き方ではなく、 どちらが間違っているとも言いにくい描き方をしている。 それは、視聴者にとっては、 ちょっとフラストレーションのたまる描き方だし、 もっと単純な善悪の図式を望む視聴者は、 このフラストレーションを脚本家のせいにしたり、 場合によっては韓国社会のせいにしたりしてるようです。 しかし、 単純でないところにこそリアルがあるわけで、 それは脚本家のせいでも韓国社会のせいでもありません。 それが現実です。 2つのドラマはSFファンタジーなので、 最終的にはSF的な解決が与えられるのかもしれませんが、 それでもなお、物語で示された困難なリアリティは、 視聴者の実際の生活に投げ返されることになります。 そういう厳しさがある。 ◇ ◇ ところで、今季は、 主演女優賞の最有力候補として、 池脇千鶴と広瀬アリスの名前が挙がるはずです。 わたしとしては、 綾瀬はるかも素晴らしいと思うのですが、 彼女の場合は、もう十分に評価が確立してますから、 やはり今季は池脇千鶴か広瀬アリスに絞られるでしょう。 わたし自身は、 「知ってるワイフ」の広瀬アリスの演技にかなり驚いてて、 今回は大倉忠義とのW主演賞もありえるんじゃないかと思ってる。 ◇ 正直、わたしは、 これまで広瀬アリスに対して、 「コメディ女優」のレッテルを張っていました。 パワフルで面白い役には向いてるけれど、 ストレートな恋愛ドラマには不向きだと思っていた。 でも、その思い込みは、みごとに覆されました。 もし、わたしが、 このドラマの制作者だったとしても、 まず大倉忠義を主演にするなど思いつかなかったろうし、 まして広瀬アリスをヒロインにしようとは考えなかったと思う。 かりに候補に挙げられたとしても、 わたしなら、たぶん広瀬アリスと瀧本美織の役を逆にしたはずだし、 大倉忠義と松下洸平の役も逆にしてしまったかもしれない。 そのくらい、 大倉忠義と広瀬アリスの主演という発想は、 かなり奇抜で冒険的なものだったと思います。 でも、 蓋を開けてみれば、この配役は大当たりでした。 このキャスティングを考えた人はお見事です。 ◇ わたしは朝ドラの「わろてんか」のころから、 広瀬アリスの演技を目にするようになりましたが、 考えてみると、 彼女はどんな役でも魅力的に演じていて、 まったくハズレがないです。 思っていた以上に、 演技のキャパが広いのかもしれないし、 もしくは作品の選び方が上手なのかもしれません。 ↓韓国版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.03.12 09:26:15
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