カテゴリ:メディアトピック
しばしば話題になりますが、 シンプルに「~いたします」と言えばいいものを、 わざわざ「~させていただきます」と言いたがる人たち。 おそらく、 まどろっこしい言い回しをすればするほど、 いかにも敬語を使ったような気分になれるのでしょう。 ◇ この「させていただきます」という用法の起源は、 「仁義切らせてもらいます」 「ケジメつけさせてもらいます」などのヤクザ言葉です。 無理やり相手から許可を取りつける言いがかりであり、 もともと圧があって強制感もあります。 このような言い回しを、 「歌わせていただきます」などの形でメディアに広めたのは、 バブル期にヤクザと癒着した演歌歌手でした。 ◇ インテリの場合は、 こうした過剰な敬語に対して、 「慇懃無礼」という判断もはたらくのですが、 ヤンキー層にはそのような概念がないので、 いわば"無限慇懃地獄"へと陥るのです。 「相手より低く頭下げたほうが勝ち」 みたいな土下座文化と同じで、 「相手よりもまどろっこしい言い方をしたほうが勝ち」 という馬鹿げた美学へと陥ります。 もともとヤンキーや右翼の文化においては、 「あらせられる」「なさっておられる」「させていただく」 のようなゴテゴテとした印象の敬語が好まれ、 「いらっしゃる」のような柔らかい敬語は好まれません。 これは、 たとえば「よろしく」を「夜露死苦」と書いて、 ある種の凄みを持たせたいという発想と同じで、 実際の意味よりも「なんか凄そう」という語感こそが、 優先されてしまう結果として出てくるものです。 ◇ ◇ 余談ですが、 わたしは、 「お亡くなりになりました」とか、 「お聴きいただきます」とかいう言い方も大嫌い。 おナくナりにナりました… おキキいただキます… この言い方、じつはNHKでもよく聞きます。 前者は「ナ」が3回、 後者は「キ」が3回も入ります。 なんでわざわざそんな言い方をするんでしょう?! やはり、 面倒な言い回しをすればするほど、 さも「敬語を使った」という気分になれるからだと思います。 前者は「亡くなりました」で十分だし、 百歩譲って「亡くなられました」が限界。 後者は「聴いてください」「○○です。どうぞ」と言えばいいのだし、 たとえば「お送りします」や「おかけします」でも十分すぎるくらいです。 ◇ そもそも現代の日本は、 目上も目下もない平等社会という建前なのだから、 「尊敬」だの「謙譲」だのという差別的な語法は廃止して、 すべて丁寧語だけに統一すればいいのですよね。 どうせ、国民の大半は、 その違いすら正しく理解できていないのだし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.06.18 01:00:26
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