カテゴリ:東宝シンデレラ
本来なら、去年のうちに、 奥森皐月をとおして知っておくべきだったのだけど… もともと、そんなにお笑い好きってわけでもないし、 M-1などもまったく見ない人間なので、 すっかり乗りおくれて、 萌歌のラジオで紹介されるまで知らずにいました…。 ◇ 若手芸人というと、 ちょっと尻込みしてしまうところもありますが、 ランジャタイの笑いの世界は、 わたしたち世代にもハマれる部分がある。 それは端的にいうと、 「江戸落語」や「不条理漫画」の世界に近い。 ボケの国崎は富山県出身、 ツッコミの伊藤は鳥取県出身ですが、 関西風というよりは関東風、 そのシュールな芸風はかなり「都市型」の笑いだといえる。 ◇ 代表作として知られる「風猫」は、 体内に侵入した猫が人間を操作し、 操られた人間がロボットになるという不条理ネタ。 ボケの国崎は、 ひとりで何役もこなしながら、 道具も使わず、 身ぶり手ぶりだけで異常な状況を描写していくけど、 これはかなり江戸落語の手法に近い。 実際、 ランジャタイには落語ネタもあって、 正座をしてお茶を呑む仕草などもよく出てきます。 ただし、 スケールを変えながら巨大なものと小さなものを演じ分けたり、 現実にはありえない状況を描写していくシュールな世界は、 落語をかなり現代的にアップロードしています。 体内に侵入して人間を操縦する猫 操られてロボットになる人間 かたや伊藤のツッコミは、かなり独特です。 ほとんどツッコみません。 途中までは、 国崎の描き出すシュールな世界を、 なんとか理解しようと言語化して確認するのだけど、 状況がエスカレートするにつれ、 後半は、ただ呆れて、生暖かく見つめるだけ。 もしくは、 あまりにもクレイジーな事態に、絶句したまま立ち尽くします。 この「シュールな状況に絶句する」さまは、 昔のガロなどの不条理漫画に似ていて、 伊藤の変な髪型も、そういう雰囲気を醸し出してます。 (最近、角刈りにしたらしいけど) 吉田戦車の不条理漫画「伝染るんです。」より なお、猫に操作された人間は、 「将棋ロボ」と「カニ挟みロボ」と「お茶呑みロボ」を延々とループ。 伊藤は絶句したまま、その様子を凝視するだけ。 伊藤が言葉を失ってからこそがランジャタイの真骨頂になります。 将棋ロボになった人間。 カニ挟みロボになった人間。 お茶呑みロボになった人間。 ◇ その他のおすすめネタです… 「お鍋の美味しい季節になってきました」 キレのある描写で鍋をつくる仕草は、かなり江戸落語風。 鍋が大惨事になると、何故かピカソの「ゲルニカ」が登場するw 「くそったれ人生にさよならぽんぽん」 怪しいヨガ体操を自宅でもやるように勧められて、 はじめは生返事で誤魔化してるけど、 あまりのしつこさに途中から絶句。 「弓矢」 "弓矢で牛丼を射ってブン回したい!"とか、 "最後は笑顔でサヨナラしよっ!そのほうがいい!"とか、 謎の主張をしつづけるだけのネタ。 ◇ ちなみに、 ボケの国崎は天才肌だといわれてますが… 彼の出身地の富山県は、 ノーベル賞受賞者をたくさん輩出してる日本屈指の頭脳県だし、 たとえば「宇宙の真理」みたいなネタを見ると、 シュールな世界を極限化していく彼の発想は、 いわば「富山風」のスタイルなのかもしれない。 コンビ名を「蘭奢待」からとってるところも、ちょっと知性的です。 ◇ 一方で、 ランジャタイのネタは「当たりはずれが多い」ともいわれる。 実際、いくら奇想天外な世界観といっても、 国崎の描写力に頼るところが大きいし、 伊藤がそれを分かりやすく言語化してくれないと、 観客は何をやってるのか理解できなくて、 ついていけないこともある。 それから、 ライブでは、 いつもフェードアウトして苦笑いしながら終わるけど、 わたしとしては、 疲れ果てて悲愴感のうちに去っていくほうが面白いのにな、と思う。 さもなくば、 「最後は笑顔で…」をやって、ニッコニコで帰るとか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.06.18 12:05:45
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