テーマ:好きなクラシック(2317)
カテゴリ:ドラマレビュー!
日テレ「リバーサルオーケストラ」が終了。
当初は、 「のだめの二番煎じ」という先入観がありましたが、 全体の構成はけっこう良く出来てて、 じつは「のだめ」ともコンセプトがかなり違っていた。 ◇ 基本的に、 「のだめ」や「蜜蜂と遠雷」などは、 天才的な演奏家をメインにした物語でしたが、 今回は、しがない地方オケの団員たちの物語。 そこが従来の作品とは大きくコンセプトが違う。 地方の公共オーケストラは、 自治体の厳しい財政で支えられており、 地方政治の権力争いとも無縁ではいられない。 名の知れた私設オーケストラが、 潤沢な企業資金で運営されるのとは対照的なのですね。 そんなクラシック界の構造的な問題も垣間見える。 団員たちは、 それぞれに家庭の事情などを抱え、 安い給料で肩身の狭い思いをしながら、 細々と音楽を続けている。 かつては「神童」と呼ばれた人や、 有名オケで活動した経験のある人も、 いまは地方の公共オケ団員の身分に甘んじてる。 けっして華やかな世界じゃなく、わりと地味な世界です。 ◇ 今回のドラマで推されていたのは、 チャイコフスキーの交響曲第5番でした。 なぜチャイコなのか? のだめが「ベト7」を推したのは有意義だった。 ドラマから20年ちかく経っても、 いまだ「ベト7」は人気のレパートリーであり続けてるし、 あの曲がベートーヴェンの印象を変えた面も大きい。 ▶ それについては以前こちらにも書きました。 それに対して、チャイコといえば、 一般にはバレエ曲のほうが人気なわけだけど、 あえて今回、管弦楽曲を推した理由は何か? たぶん、それもやはり、 地方オーケストラの問題と関係があるのでしょう。 ◇ 一流オーケストラの場合、 チャイコフスキーって、やや軽く見られがちだけれど、 地方で公共オケを運営していく場合には、 ブラームスやマーラーってのもちょっと難しいし、 やっぱりチャイコあたりが重要なレパートリーになるのだと思う。 なんといっても、親しみやすくてキャッチーですからね。 とくにチャイコの5番は、 ただキャッチーであるのみならず、 楽曲としての深みも、格調の高さもあるし、 地方オケのレパートリーとしては最適な選択のように思います。 今後は「チャイ5」が人気楽曲になるのかもしれませんね。 なお、ドラマのなかでは、 屋外や老人ホームなどで演奏するシーンもありましたが、 そうしたボランティア活動も大事だし、 「クラシックはコンサートホールで聴くもの」 という固定観念を取り払うのも、けっこう大事なことです。 ◇ ドラマでサントラを担当したのは清塚信也と啼鵬。 清塚信也は「のだめ」にも参加していたのよね。 今回の挿入曲のアレンジも素敵でした。 とくに印象的に使われていたのは、 やはりチャイコの5番とラフマニノフのピアコン2番でしょうか。 一方には戦争の問題もあるけれど、 なんだかんだでロシアものって、感情を掻き立てるからドラマ向きです。 チャイコフスキー/交響曲第5番 わたし自身は、 「のだめの二番煎じ」という先入観もあいまって、 このドラマにちょっと乗り遅れてしまい、 第4話あたりから見はじめて、最終回まで見たあとに、 また最初にもどって1話から3話を見た形…(笑)。 ドラマとしての引きがやや弱かったのは否めないし、 脚本も、中盤のエピソードなどがちょっとゆるくて、 詰めの甘いところも見受けられたし、 わたしはそのへんから見始めたので、なおさらハマり損ねた。 キャストが地味めなのも、 引きが弱い理由になってはいたけど、 けっしてミスキャストだったわけではなく、 個人的には相武紗季をひさしぶりに見れたのも嬉しかった。 わたしのように、 乗り遅れた人や乗り損ねた人もいると思うので、 もし第2シーズンを作るなら、 今回の第1シーズンを2~3時間にまとめて、 ぜひ総集編を作ったらいいんじゃないかと思います。 ◇ なお、個人的な意見だけど、 こういうドラマって、 ほんとうは春ドラマよりも冬ドラマのほうがいい。 やはりクラシックがいちばん盛り上がるのは、 秋から冬にかけてのシーズンだし、 かりに12月に最終回を迎えれば、 その足でクラシックのコンサートにも行きたくなると思う。 いずれにせよ、 もう「のだめ」からは17年も経ってるし、 若い世代は「のだめ」を見てないわけだから、 こういうドラマは定期的に作られてもいいですね。 ちなみに今年の秋には、 上野樹里の主演で「のだめ」がミュージカルになるそうです。 上野樹里×三浦宏規×上田一豪×茂木大輔 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.03.26 05:13:11
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