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読売テレビ「しょうもない僕らの恋愛論」 が終了。
ほとんどの視聴者は、 拓郎と絵里が結ばれるとか、 くるみと悠が結ばれるとか、 そういう結末を予想したと思うけど、 …ぜんぜん違いました。 かといって、 絵里は古舘の息子と結ばれるわけでもなく…。 わたしは見ていませんが、 Huluでは「10.5話」が配信されていて、 そこでは、どうやら、 くるみと悠が結ばれ、 絵里と古舘の息子が結ばれる、 …みたいな方向に展開してるらしい。 実際、くるみと悠にかんしては、 高校生の男女があんなにいつも一緒にいるのに、 ぜんぜん異性として意識してないってのが、 さすがにちょっと不自然ではありました。 そのHuluの「10.5話」を見るかどうかは、 視聴者がそういう結末を望むかどうかでもあり、 有料コンテンツへの誘導という面もあると思うけど、 わたしとしては、 地上波をあえて未完に終わらせたことの意義を感じました。 ◇ 前回までの絵理は、 20年もの片思いをしてきたわりに、 ずいぶんと拓郎に無理難題を要求していて、 くるみ(あるいは安奈?)への嫉妬も相俟ったのか、 拓郎の想いが自分へ向いてないことに苛立ち、 結局は、自分で身を引いてしまったように見える。 かたや、くるみのほうは、 高校卒業から数年経っても、 ずっと拓郎への一途な想いが変わらず、 もう成人してもいるので、 そのままいけば結ばれそうな雰囲気だったし、 わたしもそういう結末で納得しかけたけど、 …結局は、こちらも結ばれずに終わりました。 拓朗は、 最後まで安奈が好きだったわけですね。 しかし、いったんは絵理の想いを受け入れました。 ただし、くるみの想いは最後まで受け入れなかった。 そこには、やはり年齢の問題があったと思う。 ◇ 悠がくるみに言ったセリフに、 「まともな恋愛をしろ」という一言があったけど、 拓郎もまさに、その分別にしたがって、 絵理との恋愛は受け入れる一方、 くるみとの年の差恋愛は避けたように見えます。 つまり、 絵理との恋愛は「まともな恋愛」だけれど、 くるみとの恋愛は「まともじゃない恋愛」ってこと。 そういう年齢的な自制をかけていたのですね。 しかし、「まともな恋愛」っていったい何でしょう?? ◇ ドラマを見ている視聴者は、 「お似合いの男女」が結ばれることを無意識に望むし、 それにしたがって、 拓郎と絵理が結ばれるとか、くるみと悠が結ばれるとか、 そういうことを望みます。 その視聴者の願望に沿うのがドラマの予定調和でもある。 現実においても、 「誰と誰はお似合い」だとか、 「誰と誰はくっつくべきじゃない」とか、 外野の人間が、当人の気持ちとは無関係に、 「あるべき恋愛」や「まともな恋愛」について、 好き勝手なことを言いがちです。 つまり、 何が「まともな恋愛」なのかを、 当事者ではなく、世間が決めてしまうのよね。 親や友人でさえ、 当人の気持ちを無視して、 勝手な助言で恋愛の邪魔をするものだし、 しまいには当人も周囲の考えに左右されてしまいます。 恋愛ドラマも、その観念に沿って作られることが多い。 でも、 何が「まともな恋愛」かなんて、 本来なら他人が決めることじゃないし、 誰と誰が「お似合い」とか「お似合いじゃない」とか、 はっきりいって余計なお世話なのよね。 ◇ …まともな恋愛とは、いったい何なのか。 それこそ、 矢田亜希子が押尾学と結婚したときには、 わたしも正直「どうなんだろう?」と思ったし、 その結婚が破綻したときには、 「ほら言わんこっちゃない」と思ったけど… 今だったら、そういうことは考えない。 だって、 そんなことは当人の気持ちの問題だし。 結果的にそれが破綻するとしても、 外野がとやかく言うべき話ではない。 たとえお似合いの男女でも、破綻するときは破綻するし、 たとえ不釣り合いな男女でも、上手くいくときは上手くいく。 恋愛において、 何が「まともな恋愛」だとか、 誰と誰が「お似合い」とか「お似合いじゃない」とか、 そんなことは他人や世間が決める話じゃないし、 それは年の差恋愛についても言える。 ◇ ドラマの設定だと、 くるみが17才のときに拓郎が41才で、 くるみが20才になると拓郎は44才で、 くるみが25才になると拓郎は49才です。 もちろん、 年齢の差は埋まらないけれど、 徐々に恋愛の許容量は増す気もする。 あとは当事者の気持ちが持続するのかどうかの問題。 地上波の物語をあえて未完にしたのは、 そういう含みをもたせる意味もあったように感じます。 ちなみに、このドラマは、 原作者が男性で、脚本家はほぼ女性。 演出家は、2人が男性で1人が女性。 とくに松本花奈は、弱冠25才の若い演出家ですね。 おそらく制作陣のあいだでも、 年齢や性別によって、 物語の見方や考え方が違うだろうし、 そこもちょっと興味深いところではあった。 ◇ ◇ ◇ 余談ですが、 三角テーブルって、何の伏線でもなかったのね(笑)。 てっきり3人が疑似家族になるのだろうと読み違えました。 さらに、漫画家のワカタマコは、 「ワカタ・マコ」なのか、 「ワカ・タマコ」なのか分からなかったけど、 そもそも女性じゃなくてキム兄だったというオチ! ◇ なお、 このドラマは神保町を舞台にしていて、 神保町シアターがたびたび出てきました。 絵里と悠は、マキノ正博の「鴛鴦歌合戦」を観てました。 オープニングのテーマ曲も、 なにやら小津安二郎っぽい雰囲気があって、 もしかしたら制作陣のなかに映画オタクがいたのかも。 矢田亜希子って、 実際はお金持ちヤンキーみたいな人だから、 プライベートな実像と、演じるキャラに乖離があるけれど、 昔から、小津映画の原節子みたいに、 良家のお嬢様的な役を演じてきた面があって、 今回も、 強気なキャリアウーマンなのに、片思いをつづける映画オタク… という、いまひとつ分かりにくいキャラを演じてました。 古館の息子くんも、 本業はミュージシャンなのだと思うけど、 ショボめの役でもぜんぜん選り好みしないのですね。 「ナラタージュ」にも出てたので、萌歌とは何かと縁がある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.03.28 11:31:27
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