カテゴリ:ドラマレビュー!
TBS「ヴィヴァント(ヴィヴァン)」を見終わりました。
序盤から、この物語は、 かつての"馬賊もの"に似てる気がしてましたが、 まさにそのような話だったと思います。 ◇ 最後は、 バルカの腐敗した現地政府を排除して、 日本人のノコルがその国家運営を担うという結末。 だけど、 いくら軍隊を掌握してるといっても、 彼に国家の運営などできるわけがないと思う。 いずれ周囲の勢力に脅かされ翻弄されることになる。 あれだけの豊富な地下資源を有していたら、 米中の代理戦争の舞台になりかねないし、 日本がそこに影響力を行使するようになったら、 旧満州のような傀儡国家の建設へ至るのでは? たとえ当初の目的が、 現地における人権状況の改善だったとしても、 それは、いつのまにか、 資源を目当てにした大陸進出の口実に置き代わるでしょう。 ◇ かつての"馬賊もの"も、 当初は欧州の植民地支配からアジアを解放すべく、 独立の夢のために駆け抜ける物語だったわけですが、 やがて関東軍の暴走にさらされ、 本来の理想は、 八紘一宇や大東亜共栄などの領土的野心に置き代わり、 ついには満州での傀儡国家の建設へと至り、 731部隊や東部33部隊の暗躍を許すことになる。 そう考えると、 今回のドラマの主人公が、 日露戦争の英雄と同じ名前の「乃木」であり、 この物語を作ったのが、 福澤諭吉の玄孫だということが不気味に思えます。 しかも、このドラマでは、 文民統制の逸脱を危険視した政府高官(橋爪功)が、 最大の悪のラスボスのように設定されており、 自衛隊別班はまるで正義の組織のように印象づけられてる。 ◇ ◇ ◇ そもそもドラマとして面白かったのかというと… 「乃木が射殺したはずの別班メンバーが生きていた」 というあたりから、わたしの気持ちは引いてました。 あのとき、 ノコルがとどめを刺したり遺体を処理したりしていれば、 彼らは全員死んでいたはずです。 そういう悲惨な結果も厭わない別班の残酷さを表現した、 …とも言えなくはないけど、 櫻井と乃木の作戦はあまりにも無謀に思えます。 ◇ 終盤での、 どんでん返しに次ぐどんでん返しは、 もはやどの機関が何のために動いてるのかも分からなくさせたし、 実際のところ、CIAやFBIがどう関係してるかも分からなかった。 最後は、 ノゴーン・ベキが生きていることを匂わせる演出でしたが、 あそこまでこれ見よがしのどんでん返しが続いてしまうと、 秋元康の「あな番」のときみたいに、 観てるほうは、いいかげん白けてしまって、 正直「もうどっちでもいいよ…」という感想しか湧いてこない。 ◇ もし続編があるとしたら、 これはやはり日本の傀儡国家建設へ至るのではないかしら? くれぐれも、 ネトウヨをはじめとする現代日本人に、 妙な領土的野心を焚きつける話にならないよう祈ります。 ほかならぬ自国の政策の結果なのだから、 「美しき我が国を汚す者は何人たりとも許さない!」 とかいう安倍晋三みたいな言い草は、 いまや「どの口が言ってんの?」ってことにしかならないのよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023.10.06 13:41:03
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