カテゴリ:NHKよるドラ&ドラマ10
NHK「燕は戻ってこない」第7話。
格差社会のなかでは、人間への差別感情も増大する。 千味子(黒木瞳)は、 リキ(石橋静河)のことを「違う人種」と侮蔑します。 実際、西側ヨーロッパの代理出産は、 ウクライナなど「別人種」への搾取によってるしね。 搾取する側の人間は、 その内実を見ないように普段は蓋をしてます。 不快な実態を目の当たりにする嫌悪感や罪悪感から、 なるべく目をそらして生きるためですよね。 もし搾取しながら、 「才能のない人間は搾取されて当然!」 「努力しない人間は搾取されて当然!」 と、それを平然と正当化できるならサイコパス。 しかし、千味子のなかには、 自分の加害性を意識させられることの嫌悪感もある。 だからこそ、 「1000万円は産んだあとに消えてもらうためのお金」 「産んだら速やかに目の前から消えてもらう」 「こちらとは二度と交わらない」 …と吐き捨てるように言います。 ◇ 千味子は、 リキのことを「どうしようもない人間」だと侮蔑しながら、 その人間に「私たちはすがってる」という事実を嫌悪してる。 そして悠子(内田有紀)に対して、 「この先、あなたと加害者の絆を背負っていく」 と言います。 それがまさに《搾取》の加害性ってことでしょう。 ◇ 一方、わたしが気になったのは、 バレエ教室の「貴大くん」という生徒のことです。 基(稲垣吾郎)は、 毎年予選どまりの彼に、 留学のためのスカラシップを取得させようとしてる。 そして躊躇する母親に対しては、 「親が普通だからといって、子供が努力を放棄する理由にはならない!」 「子供は遺伝子の奴隷じゃない!」 と叱咤激励します。 ◇ たしかに言ってることは正しいけど… 代理出産までさせて自分の遺伝子を残そうとする人間が、 それを本心で言ってるかは疑わしい。 ほんとうに貴大くんの才能を信じるがゆえなのか。 それとも、ただ教室の実績や名声を挙げるためなのか。 かりに貴大くんに将来の展望がないとすれば、 スカラシップを取得して海外留学しても、 お金と人生を無駄にするだけです。 基には、 生徒のその後の人生まで請け負う意思があるのかどうか。 たんに教室経営のコマとして利用してるだけなのでは? ある意味では、それも《搾取》の一種かもしれません。
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最終更新日
2024.06.17 19:01:08
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