カテゴリ:音楽・映画・アート
NHK「映像の世紀バタフライエフェクト」を見ました。
今回は《ルート66~アメリカの夢と絶望を運んだ道》です。 ちょうど4月にU-NEXTで、 ジョン・フォードの「怒りの葡萄」を観たばかりだったので、 ルート66のことは気になってたのよね。 ◇ 番組で取り上げられた事項を、 年代順に並べると以下のような感じ。 1926 国道66号線(シカゴ~サンタモニカ)が創設。 ◇ 大都市と大都市を結ぶ国道が整備されたら、 沿線の田舎町も潤うかと思いきや、 皮肉にもダストボウル難民が発生してしまう。 そして、土地を追われた彼らは、 出来たばかりの国道でカリフォルニアへ向かうものの、 そこに十分な仕事はなく、 粗末な難民キャンプで暮らすしかなかった。 ちなみに、ダストボウルは、 無計画な耕地開発による人災とも言われるけど、 もしかしたら、それ自体が、 国道整備を当てにした資本投入の結果だったのでは? とにかく、 オーキーと呼ばれた人々にとって、 国道整備は恩恵どころか悲劇しか生まなかった。 最終的に彼らを救ったのが大戦特需だったのも皮肉です。 そして、 第二次大戦によってオーキーが救われる代わりに、 こんどは日系人が排斥されて強制収容される。 ヘンリー・フォンダはネブラスカ州出身。 なお、音楽惑星さんは、 ボブ・ディランが「ウディ・ガスリーの後継者」であり、 スタインベックが1962年に、そしてディランが2016年にノーベル文学賞を受賞したのは、まったく無関係な出来事なのではない。 …と書いてましたが、 たしかにウディ・ガスリーを起点に考えると、 2人のノーベル賞受賞は関連してるように思えます。 第2の国歌とも呼ばれる「This land is your land」。 ◇ 一方、 戦後のルート66の享楽的なイメージは、 ナット・キング・コールの歌に象徴されます。 個人的にはマンハッタントランスファーでよく聴いたけど。 マフィアがカジノを仕切ったラスベガスでは、 ネバダの核実験を見物しながらカクテルを飲んだりしてた。 ◇ とはいえ、 戦前のボニー&クライドや、 戦後のジャック・ケルアックの小説のように、 自由と退廃の交錯するイメージも、ずっと尾を引いてる。 サマー・オブ・ラブの実態は、 ヒッピーたちのドラッグ&セックスだった。 ボニー&クライドのことは、 「時をかけるな恋人たち」のマギー&キケロのときに、 ちょっと取り上げたけど、 彼らの犯罪もルート66がらみなのね。 1967年の映画「俺たちに明日はない」は、 日本でいう《アメリカン・ニューシネマ》の嚆矢になる。 ピーター・フォンダの「イージーライダー」も、 やはり《アメリカン・ニューシネマ》の代表作。 父のヘンリー・フォンダとともに、 息子も映画でルート66を走るという不思議な因縁。 ◇ マイルス・デイヴィスが、 オクラホマ州のエドモントで黒人排斥に遭ったように、 国道沿線には「サンダウンタウン」と呼ばれる町があり、 基本的には白人保守の世界だった。 黒人旅行者のためのグリーンブックが発刊されたのは、 理由もなく黒人が射殺されるような状況があったから。 現在は、そうした白人保守層が、 リーマンショック後に貧困化するなかで、 共和党のドナルド・トランプが強力に支持される現実がある。 公民権法が施行されてもなお、 社会の分断がなくなったわけじゃなく、 むしろ亀裂はいっそう複雑化して深まってます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.06.19 08:44:48
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