カテゴリ:音楽・映画・アート
日曜美術館「まなざしのヒント」シュルレアリスム編。
いかにも"お勉強"って感じの趣向だけど、 じつは知らないことが多くて、勉強になります。 ◇ シュルレアリスムは1920年代の潮流。 第一次大戦の大量殺戮に直面し、 人間の理性が信じられなくなって、 その内面にひそむ欲望や無意識に目が向けられた。 フロイトの精神分析学を援用して、 人間の無意識を対象化するのが目的だったと思う。 シュルレアリスムの和訳は「超現実」ですが、 むしろ「内面的な現実」というほうが正しいかも。 ◇ フロイトのお膝元のウィーンでは、 19世紀末に分離派の潮流があって、 そちらにもフロイトの影響はあったと思う。 シュルレアリスムにかんしては、 アポリネールがプラハで直感を得たことを、 わたし自身は重視してるのだけど、 教科書的にいえば、 シュルレアリスムもフロイトの影響ってことなのね。 実際、 オートマティスム(自動書記)をはじめとして、 フロッタージュ、グラッタージュ、デカルコマニーなど、 偶然への反応から無意識の表現を引き出していく技法は、 フロイトの自由連想法の応用なのだと思います。
ダリがぐにゃぐにゃの時計を描いたのは、 ルイス・キャロルやミヒャエル・エンデみたいに、 近代的な時間概念への批評かと思ってましたが… 中野信子の話によると、 ちょうどアインシュタインの時代なので、 相対性理論の影響があるかもしれないとのこと。 時空の歪みの表現ってことですね。 ◇ 一方、 人間の顔の引き出しは、 隠された無意識が表に晒された状況。 岸辺露伴でいったらヘブンズドア?? まあ、 種明かしをすると、わりと安直な感じもするw そのほか、 蟻は死の象徴で、 燃えるキリンは戦争による終末の予感。 ◇ 下の絵も、 大地が黄色に照らし出された終末的な明るさ。 ダブルイメージならぬ、 核兵器&人間の頭&木のトリプルイメージ。
下のキリコの絵を見て思い出したのは、 ソクーロフの「日蝕の日々」というSF映画。 永遠の日暮れのような終末的なイメージです。 下のマグリットの絵は初めて見ました。 この「人間嫌い」というタイトルは、 マグリットの核心を言い表してる気もする。
マグリットの絵の特徴って、 しばしば人の顔が見えないことだよね。 顔のない匿名的な人間ともいえるし、 近代社会のなかで没個性化した人間ともいえる。 それが、青空や白い鳩など、 ピースフルな雰囲気と不思議に相まってたり、 楽観的なのか悲観的なのか、よく分からない…(^^;
青いリンゴはビートルズのアップルレコードのロゴマークに応用されてる。
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最終更新日
2024.07.09 05:22:50
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