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まいかのあーだこーだ

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2024.10.04
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カテゴリ:ドラマレビュー!
黒島結菜版「時をかける少女」の最終回。

日芸の写真科だった黒島結菜のカメラが、
ただのネタではなく、物語の重要な要素になってました。

季節が消えて「冬」だけになった未来のために、
ヒロインは「夏」の記憶を写真に残していたのですね。



タイムパラドックスとか、パラレルワールドとか、
そういう面倒くさい話はありませんでしたが、
「時空の自浄作用が働いて異物を排除しようとする」
「未来人の細胞は時間の流れが早くなって短命になる」

みたいな設定でした。

また、未来では、
配偶者だけでなく、職業についても、
「適性に合わせて効率的に決められる」
とのこと。
AIのマッチング技術が発展してるっぽい。




もともと七夕の物語だったので、
未羽と翔平を「織姫と彦星」に見立てたわけよね。

しかし、残念ながら、
未羽が翔平に恋したようには見えませんでした。

翔平のほうも、
催眠技術で未羽の記憶を書き換えてるわけなので、
菊池風磨の一癖あるキャラとも相まって、
いまひとつ誠実な恋愛とは思えない面があり、
(吾朗ちゃんのほうがはるかに誠実に見えます)


結果として、
2人の別れのシーンにも、あまり心を動かされなかった…(^^;



1983年の原田知世版の場合、
芳山和子は深町くんに恋しますが、
深町くんのほうには何の感情もありません。

監督の大林宣彦は、
深町くん役の高柳良一に、
あえて「棒読みの演技」をさせたらしいけど、
未来人の深町くんって、無機質・無感動なのです。

たんに、
吾朗ちゃんについての記憶を置き換えた結果、
その副作用として、
芳山和子のなかに深町くんへの恋心が生じてしまった、
…みたいな話なので、

深町くんは、
芳山和子の記憶を消したら、
無慈悲にもあっさり未来へ帰ってしまう。



ある意味、
原田知世版の芳山和子は、
身勝手な未来人に翻弄された被害者なのよね。

ただ、観客にしてみれば、
芳山和子の宙に浮いてしまう恋心が切ないし、
想い人の感情を横取りされた吾朗ちゃんも切ない。



原田知世版において、
深町くんはあくまで「虚」の存在でしかありません。

ヒロイン自身はそのことに気づいてないけど、
観客から見ると、ヒロインの深町くんへの感情は、
じつは吾郎ちゃんへの感情なんじゃないの?と思える。

それは「さびしんぼう」も同じです。

主人公のさびしんぼうへの感情は、
じつは母親への感情なんじゃないの?と思える。

そこに大林宣彦の物語の肝がある。
https://www.jtnews.jp/cgi-bin/review.cgi?SELECT=24063&TITLE_NO=2906#HIT



黒島結菜版では、
そういうやりきれない切なさはないけれど、
そのぶんエモーショナルな要素にも乏しい。

むしろ、
「恋愛感情」が宙に浮く悲しさよりも、
「青春の記憶」が消えてしまう悲しさ、
…という面が強調されてる感じです。

以下は、最終回冒頭の未羽のセリフ。

別れが苦手。嫌い。
高1のクラス替えで、ひとり号泣するほど嫌い。
友との別れというか、愛おしい時間との別れが寂しくて。
「時間」って命だと思う。
君は泣くかな?もしも私たちの時間が死んでしまうなら。

かけがえのない青春の時間こそが大事ってことよね。

翔平の側から見ても、
「夏」と「恋」を失ってしまった未来人が、
現代にタイムスリップして、
はじめて「夏」と「恋」を経験する物語になってる。

翔平を「虚」でなく「実」の存在にしたのは、
そのためなのだと思います。




なお、
原田知世版では、
ヒロインが深町くんの記憶を失いますが、
黒島結菜版では、
未羽が翔平の記憶を失くしたかどうか、
はっきり描かれてません。

なので、
未羽が「夏」の写真を撮ってるのは、
未来のためと意識してのことなのか、
いまいち分からないし、

翔平への恋心が残ってるかどうかも不明なので、
その後の吾朗ちゃんとの関係がどうなるのかも、
視聴者のご想像にお任せします…って感じ。



…余談ですが、

三浦透子と古畑星夏は文字どおりのチョイ役で、
さほど物語に絡んできませんでした。
今から考えると、ちょっともったいない。

吉本実憂と八木莉可子にも、
期待したほどの役割は与えられてませんでした。





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最終更新日  2024.10.04 13:48:43


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